第03話 「身・体・測・定」
「じゃあ、先ずは身長を図るわね?前よりもかなり身長が低くなっちゃってるし」
そうなんだよね…今の僕のパジャマがすごく大きく感じる、裾とかを捲らないと
歩くことができないぐらい、今のパジャマもぶかぶかなのだ。
「そこの柱に背中合わせて立ってみて。」
母さんの言うとおりに、柱に背中合わして立ってみた。
そうすると母さんは、僕の頭のてっぺんに柱の傷をつけて、メジャーで測る。
「えっと…身長は150㎝ちょうどだね、あらま可愛くなっちゃって」
え!?今何と言いましたか?150㎝!?ですってー!!男の時もそんなに高くなかったけど
10㎝も小さくなってる…身長が欲しかっただけにすごくショックだ…悲しい。
しかも僕の事を可愛いとか言ってるし…とても複雑だよ!ダブルショック!!
「來海とそんなに変わらないぐらいかな?いざとなれば來海のお下がりでも代用できるか…。」
僕がショックを受けている傍らで、母さんはうんうんと頷き、何か納得している感じだった。
「じゃあ瑞樹、パジャマ脱いで、3サイズ図るから」
え!?母さんの前で裸にならないといけないの?恥ずかしいよ…。
パジャマを脱がずにモジモジしていたら、母さんからこう言われた。
「瑞樹…何を恥ずかしがってるの?同性なんだし、それとパジャマを脱がないと
サイズ図れないでしょ?あなたに合う下着を探しに行かないといけないんだから」
そう言われても、昨日までは男だったわけで…気持ちの整理が出来てないと言うか…。
「もうー瑞樹!!さっさと脱ぐ!」
そういうと母さんが僕に近づき、パジャマを脱がしていった。
「きゃあ!!」
思わず僕はそう叫び、慌てて腕で胸を隠し、その場に座り込んでしまった。
「…瑞樹、なんて可愛い声で叫ぶのよ…私、育て方を間違えたのかな…
あ!でも今は合ってるのから良いのかしら?とても複雑な気持ちだわ。」
そう言いながら、母さんは肩を落としていた。
僕の気持ちはどうなんだよ!いきなり脱がされて恥ずかしいし!!
「それよりもサイズ測らないと…さぁ瑞樹立って、座ったままじゃ測れないでしょ?」
「あのその…そっそうなんだ…けど…僕、はっ恥ずかしくて!」
「後ろ向いたままでいいから、そのまま立って。腕は水平に横へ伸ばしてね」
このまま伏せこんでいても何も始まらないのは分かってる…とても恥ずかしいけど。
母さんも僕のためにやってくれているんだから、無下にするわけにもいかない。
そう思い、恥ずかしいけどその場に立って、母さんの言われたように腕を水平に伸ばした。
「瑞樹、とてもきれいな肌してるわね?羨ましいわ~じゃあまずはバストから測るわね」
そう言ってメジャーを僕の胸に回して、測定し始めた。
メジャーがとても冷たく感じる。
「んーアンダーは63㎝でトップが73㎝ね…ブラはA65で良いわね」
え!?Aって言うことは、僕のおっぱいはAカップってことなのかな…小さいとは思ってたけど、
世に言う貧乳ってやつなのかな…ちょっとショック。
「続いて、ウエストとヒップを測るわね」
「えっと、ウエストが54㎝で、ヒップが76cmね!
瑞樹、この数字をメモに書いておいて覚えておきなさいね?下着や服のサイズを決めるのに
必要だからね。あとはまめにサイズも測っておきなさいよ?下着は特に大切なことなんだから。
合わない下着は体に良くないからね?よく覚えておきなさい。」
そう言って、僕にメモを渡してくれた。
僕にはさっぱり分からないことだけど、少しずつ覚えていくしかないよね。
メモを受け取り、その気持ちを言葉で伝えた。
「ありがとう、母さん」
それから僕のサイズを測った母さんは、買い物に出かけていった。
とりあえず今日、明日の2日でも着れる服と下着をそろえに行くと言ってた。
僕はと言うと來海にはこの事は告げずに大人しく部屋で待機してるように言われた。
母さんが買い物から帰ってきて、僕の着替えを済ませてから3人で話をすることに決めたのだ。
はぁー今日と明日は学校がないから良いとして、月曜日からどうしよう…。
それに愛生ちゃんにどう説明したら良いのかな…まず信じてくれるかどうかさえ分からないし。
未だに頭の中が整理できていない、分からない事だらけで頭の中がぐちゃぐちゃだ。
少し疲れた…部屋に戻ってちょっと横になろう……。