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第24話 「二・人・紹・介」

僕たちの教室の前まで来た。

「1-B」…1年B組、僕たちの教室だ。

自習になっているのかな?教室は、みんなの話声で騒がしかった。


「じゃあ、さっきの打ち合わせ通りに行くから、呼ばれるまでここで待機しておくように」


僕たちはそれを無言で頷き、先生はそれを確認して教室に入っていった。



『みんな静かに!自習って事になっているが、遊んで良い事ではないぞ?』


先生がそう言うと一気に話し声が聞こえなくなり、シーンと静まり返った。


『うむ、ではみなさん、おはようございます!』


それから先生から僕たちの事の説明が始まった。

先生の一言にみんなの反応があって、驚きや歓声などそれぞれの声が聞こえてくる。

すごく緊張してきたよ…僕、変じゃないかな?みんなの前に立つのすごく怖くなってきた…。



すごく不安な顔をしていたと思う…愛生ちゃんが僕の手をそっと握ってきた。

僕はすごくビックリしたんだけど…。


「大丈夫だから、ボクがいるからね?」


「…うん、ありがとう愛生ちゃん…。」


また愛生ちゃんに助けられた…。握ってくれた愛生ちゃんの手が、すごく暖かくて

すごく安心する…さっきまでの不安や恐怖がどこかに消し飛んだみたい。


『…って訳だから、みんなも2人を助けてやってほしい!

今から2人に入ってもらう…。朝比奈!和泉!入ってきてくれ』



先生からの説明が終わり、僕たちの名前が呼ばれた。

教室がシーンと静まり返る。行かなきゃ!…でも怖い!!

愛生ちゃんと手を繋いでままでいたから、僕が震えている事が分かったのか…


「瑞樹…怖いなら、このまま手を繋いでいく?」


「…ううん、ありがとう愛生ちゃん、もう大丈夫だよ」


僕はそっと手を放す、暖かかった温もりが消えちゃったけど…心は温まったから。

うん、もう大丈夫、僕は胸の前にそっと両手をぐっ!と握り、気合を入れる。


「…じゃあ行こうか」



先に愛生ちゃんが入っていった、追いかけるように僕も行く。

僕たちが教室に入ると…

いつもの教室で、いつものクラスメート達が、僕たちの事を注目していた。

転校生になった気分だよ…転校してきた人たちはこんな思いをしてたんだろうね…

すごく緊張する!足がブルブルと震えてるのも分かる。


「先ず、こちらの男子が、和泉 愛生。向こうの女子が朝比奈 瑞樹だ。

さっきも説明した通り、性別が変わっただけで何も変わってはいない。

2人はまだ不慣れな点も多いだろうから、みんなで協力して助けてやってくれ。

私からは以上だ…朝比奈、和泉、席に戻ってくれ。」


「「はい」」



そう返事して、僕たちは自分たちの席に行く。

僕の席は、窓側で後ろから2番目のところにある、その後ろは愛生ちゃんだ。

僕の横には俊介が、愛生ちゃんの横には榎本さんが座っている。

すごく奇跡的な配置でもある。


後ろの席な訳で、当然、席に行くまでにみんなにジロジロと見られる。

恥ずかしいから、そんなに僕を見ないでほしい…顔を真っ赤にしながら、

下向き加減で席に向かう。


ボソボソっとみんなの声が聞こえる…はっきりと聞こえないけど。

僕たちの事を噂してるはずだ、何この拷問は?逃げたい!この場から逃げ出したい!!

そう考えるも出来るはずもなく、仕方なく席に着くと、隣の俊介から…


「おい、大丈夫か?…まぁお前の性格上、注目されるのはきついよな」


「…うん、ここから逃げ出したい」


「まぁしばらくは、みんなからの質問攻めは覚悟しておいたほうがいいぞ?」


「…最悪、はぁ~」


ホントに最悪…人見知りのひどい僕には、拷問以外に何物でもないよ!

早くお家に帰りたい…これほどそう願ったのは今日ぐらいなものだよ。



それからホームルームが終わり、そのまま授業へ移り変わった。

授業が終わると僕の地獄タイムが始まるのかな…

当然、授業の内容なんて…頭に入ってくる事がなかった。

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