第23話 「担・任・説・明」
僕たちは、担任の若林先生に用事があるので、俊介たちと別れた。
なんとか無事に遅刻することなく、学校に着いた、あー良かったよ。
朝からケンカしたり走ったりと、かなり疲れたけどね…。
職員室を向かう際、ふと愛生ちゃんを見る。
眠そうに欠伸しながら、何時もと変わらない様子だった。
…なんでそんなに冷静になれるんだろう。
僕は戸惑いと不安しかない…突然、変わった自分を拒否されたら、どうしよう…
そんなネガティブな事しか頭に浮かんでこない。
どうすれば、僕は愛生ちゃんの様に強くなれるんだろう…。
そう考えながら、じっーと愛生ちゃんのほうを見ていたらしく。
「ん!?瑞樹、どうしたの?」
愛生ちゃんと目が合ってしまった。
すごく恥ずかしくなって、視線を外し顔を真っ赤にして伏せてしまった…。
別に悪い事をしたわけじゃないのに、すごく申し訳ない気分になった。
「あのその…ごめん、べっ別に、何でもないよ、うん」
「何を謝ってんの?ふ~ん、何もなければ別に良いけど」
愛生ちゃんは特に気にしてはなさそうだけど…首を傾げてた。
今は考えるのはやめよう…絶対ボロが出るよ。
兎に角、職員室に向かおう、それから特に話をするわけでもなく
僕たちは職員室に着いた。
「「失礼します」」
2人でそう言いながら職員室の扉を開く。
職員室は、朝のホームルームがあるため、ほとんどの先生はいなかった。
それから職員室を見渡していたら、若林先生と目が合って
「おはよう!君たち、こっちに来てくれ」
呼ばれたので、若林先生の近くまで行き、
「「おはようございます!」」
先ずは挨拶をした。
「和泉のお母さんから、説明は聞いている…
えーと、男の子が和泉で、女の子が朝比奈で間違いないな?」
「はい、ボクが和泉 愛生です」
「はい、僕が朝比奈 瑞樹です」
「ふむ…話には聞いていたが、実際に君たちを見ると…
未だにまったく信じられない話だ……まぁ私の意見など、今はどうでもいい話だな」
そう言いながら、とても複雑な表情をしていた…それが普通の反応だと思う。
僕たちも訳が分からないし、誰も説明の仕様が無い。
「和泉のお母さんとの話で、君たちは原因不明の病気により性別が変わってしまった…
と言う事にする。あり得ない話なんだが、誰も説明ができない以上、
ここは嘘を押し切るしかない。」
苦し紛れの説明だけど…仕方ないよね。
僕は愛生ちゃんと目を合わせ、お互いに首を縦に振った。
「それと…病気の事だが、命に別状はなく、健康体だと補足してほしい…
学校として、他の生徒を不安に煽るのは避けたいのでな。」
「「はい、分かりました」」
ホントに夢物語…これで納得するのだろうか?
しかし、愛生ちゃんのおばさんはすごいな~…先生にそこまで話をつけているなんて。
先生も未だに話を信じていないけど、ここまで親身になって一緒に考えてくれている。
ホントに愛生ちゃんのおばさんは、何者なんだろう?
実はすごい人なんじゃ…分からないけど、詮索したらいけない気がする、うん…やめとこ。
「細かい事は、和泉と朝比奈の2人で決めてくれれば良い…
もちろん私は君たちをバックアップしていくつもりだ、
困った事があったら、いつでも私に相談をしてくれ。」
「「はい、分かりました、ありがとうございます」」
「それでは教室に行くか。私に着いて来てくれ。
後、教室の前に来たら、私が呼ぶまで廊下で待っててくれ。
それまでに先程の説明をクラスのみんなに、私からしておくから」
僕たちは頷き、若林先生の後について、僕たちの教室に向かった。




