第19話 「母・萌・暴・走」
今回は愛生視点の話となっています。
前話と違って、土曜日から日曜日と…少し時間を戻して
書いていますので、読むときはご注意ください。
瑞樹が帰った後、ママが部屋に入ってきた。
コンコン
「愛生、ちょっと良い?」
「大丈夫だよ、ママ入ってきて」
「どうしたの?」
「んーさっきの可愛い子、誰かな~って気になっちゃって」
そうか、ママは瑞樹って分からなかったのか。確かにすごく可愛くなっちゃって、
パッと見ても分からないもんね…ボクも最初は分からなかったし。
「ふふふ、聞いて驚け!あの子は瑞樹だよ」
「え!?うそ?あの子は瑞樹ちゃん…なの??」
すごい!久しぶりに動揺するママを見たよ!…瑞樹偉いぞ、褒めて遣わそう。
「女の子の恰好してたのもあったから、余計に分からなかったでしょ?
背も低くなっちゃったしね、元々、背は高くないほうだけど、瑞樹は」
「…そうね、玄関で初めて見かけた時も、全然分からなかったわ…
そう…あの子が瑞樹ちゃんだったのね」
何かママがおかしい!?何か悶えている??
「それならそうと言って欲しかったわ~瑞樹ちゃん、すごく可愛かったから…
あ~もったいない!抱きしめて頬をスリスリしたかったわ~」
「…あの、ママ?」
「それで色々と可愛い服を着させて…エプロンもさせて…
一緒に料理したいわ~洗濯、掃除も…うふふ~♪」
「ま~ま~、そろそろ帰ってきて欲しんだけど?」
ママの悪い癖が出たよ…可愛いものを見つけるとすごく愛でたくなる。
ボクも散々させられて、嫌になって拒絶するぐらいに…
女の子らしくないのもママのせいじゃないのか!?って思えるぐらいに。
何かまだブツブツと独り言を言ってるよ…まだママの暴走は止まらない。
「…そうだ!なんだ簡単な事じゃない…愛生!!」
「え!?何?突然大きな声を出して、ビックリするよ!」
「あなたは男になったじゃない…それで瑞樹ちゃんは女の子に…
それだと結婚できるわね~しかもお嫁さんとしてこちらの家系に入れる…完璧だわ!
愛生!瑞樹ちゃんをこの家にお嫁さんとして向かい入れよう!」
「は!?突然何を言ってるの、ママは。意味が分からないよ!」
「これは色々と計画する必要があるわね…うふふ、萌えてきたわ…
久々に萌えてきたわ!」
ママの暴走が最高潮に達しようとしている…そろそろ止まってくれないかな?
ツッコむのがすごく疲れるんですけど!…これは無視したほうがいいレベルだね、うん。
そうしよう、そう考えていたら…。
「愛生!私、用事を思い出したから、ご飯は作ってあるから食べてね!
後、先に休んでおいてね、私、帰ってくるの遅くなりそうだから」
そう言い切ると、ボクの返事も聞かずに部屋を出て行ってしまった…。
もうママの好きにしてください!すごく疲れたよ…はぁ~。
それからボクは、ご飯を食べて、お風呂に入り、ベットに入る。
今日は色々なことがありすぎて、すごく疲れたよ、目を閉じるとすぐ眠りにつけそうだ。
でも、今日の瑞樹はホントに可愛かったな~女の子になって可愛さ倍増したね。
ママが暴走しちゃうのもすごく分かる気がする。
そう納得すると瞼が重くなる感じがする…寝るかな?
「おやすみ…瑞樹」
次の日、ママは夜遅くに帰ってきて、目の下にすごい隈を作って帰ってきた。
いきなりボクに、制服を渡してきた…そう、ボクが通っている高校の制服、しかも男子用。
しかも女性用の制服も…ママの手元にあった。
「これは、瑞樹ちゃん用の制服ね、明日に間に合って良かったわ~
あーそれと学校に行ったら、先ず担任の先生に会いなさいね?
校長先生には話は通しているし、向こうも承諾済みだからね、何も心配しなくていいから」
そう言うと、固定電話から誰かに電話をしていた…たぶん瑞樹のところに電話してる。
「…うん、今から持っていくわ。瑞樹ちゃんには内緒にしてね?私からのサプライズだから、
よろしくね~」
電話を切ると、出かけて行った…ホント、忙しいママだよ!
自分に正直と言うか、ボクもそういう性格だから余計に分かる、
ママの子供なんだって実感するよ。
まぁママのおかげで、明日の学校は何とかなりそうだ。
ママに任せておくと、何とかなってしまう?そう思えてしまうからすごく怖いよ!
自分のママだけど…ホント、何だろうねこの人は?何者なんですか??
謎は深まっていくばかりだよ…考えないでおこう、うん。