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第18話 「親・友・登・場」

「今日は遊びすぎたな…マジ疲れた」


ボウリングにカラオケ、ゲームセンターと…我ながら遊び過ぎたと少しは反省だ。

財布の中身もかなり寂しくなった、少しは控えないとな。


早く家に帰らないと…お袋に怒られるな。

お袋から電話があって「今日の晩ごはんは焼肉だから、どうするの?」と聞かれて、

速攻返事をした、もちろん「帰る」と。


そう考えて、駅前のバス停留場付近を横切るとき、ふと数人が集まっているところに目がいった。

大学生と思われる男が2人、中学生と思われる女の子2人に絡んでいるところに…。

ちっ!メンドクサイ場面に出くわしたな、これは。

しかも相手は中学生だろう?…あいつらロリコンか?


女の子のほうをよく見ると…げっ!?あの子は、瑞樹の妹の來海ちゃんじゃないか!!

もう一人の子は見たことないな…たぶん同級生の友達だろう、同い年に見えるし。

これは、余計にほっとけないな!しかも警官を呼びに行ってる時間もなさそうだ。


俺は、スマホを耳にあて、電話する振りをしながら、來海ちゃんたちがいる場所に向かった。



「あー警察ですか?ちょっとすみませんが、俺の友達が…ええ、女の子なんですけど」


「何だお前は!?」


「悪い男の人に捕まっちゃって…ええ、そうです、駅前のバス停留場付近です」


「お前、ふざけるなよな!!」


「あー警察のほうに電話しちゃったんで、早く逃げないとやばいですよ?

そのまま捕まってくれてもいいんですけど」


「…くそ!おい、行くぞ!!」



ふー何とか逃げてくれたな。そのまま居られたら嘘とばれるとやばかったし。

それよりも來海ちゃんたちが心配だ。


「えっと、來海ちゃん、大丈夫だったかい?」


「あっはい!ありがとうございます、植草先輩。助かりました…」



植草先輩!?…俊介??

その名前を聞いて、僕はやっと意識を取り戻した。

いつの間にか、あの2人組がいなくなったことに気付いた。

ホッと、溜息一つを吐いた。さっきまでの恐怖はなく、過ぎ去ったみたい。


僕達を救ってくれた男の子。

植草 俊介(うえくさ しゅんすけ)、僕の中学からの友達。

僕は人見知りな上にこんな性格だから、友達が少ない。

その数少ない友達の一人で、親友だ。

自宅は駅前ではなかったので、今日は駅前まで遊びに来ていたのかな?


來海と俊介が会話をしている。

來海はずっと頭を下げて、俊介にお礼を言っているようだ。

僕の事は気づいてないみたいだし、さっきの件で怖い思いをしてるので、心に余裕がない。

僕の変化の事を説明する元気さえもなかった…ごめん、俊介!


「君も大丈夫だったかい?」


「え!?あっはい、ありがとうございます…」


僕もお礼を言って頭を下げた。

それを当たり前のように「当たり前のことをしただけだよ」って返すところが

俊介らしい、ホントに良い奴。


「んじゃ、俺は家に帰らないといけないから…

もう大丈夫だと思うけど、気をつけて帰れよ」


「はい!本当にありがとうございました、植草先輩!!」


俊介は頭をかきながら、走り去っていった。

ホント俊介、カッコいいよ!イケメンだな~って思う。


そんなこと思っていると、バスがやってきた。

來海と一緒にバスに乗り込んだ。



バスに乗り込んだ僕達は、空席を見つけて來海と席に着く。

そこでやっと体の緊張がほぐれた。はぁ~あぶなかった。

來海もやっと笑顔が出てきたみたい。


「ホント危なかったね、お兄ちゃん。

植草先輩が来てくれなかったら、どうなってたんだろ…」


「うん、俊介には感謝だよ…でもホントあいつ、イケメン過ぎるよ!

あの瞬間に現れるとか…狙ったかのようだよ」


「もう…お兄ちゃんたら、植草先輩に失礼だよ?」


いやマジで俊介はそんなキャラだった。来てほしい時に来てくれるし、

居てほしい時にそばに居てくれる、空気の読める奴だから。

クラスでも人気者だしね~未だに彼女がいないのが不思議なぐらい。


「でも…その、來海ごめんね。何か危険な目に合わしちゃったし、

せっかくの休日が嫌な出来事で終わっちゃうし」


「ううん、そんな事ないよ!私、久しぶりにお兄ちゃんとお出掛けができて

すごく楽しかった♪…確かに怖い思いはしたけど…それでも楽しかったよ」


「あの…ありがとうね」


ホント來海はいい子。つい頭をなでなでしちゃった。

來海も撫でられるのが嫌ではないらしく、真っ赤な顔をして伏せている。


「…ありがとう…お姉ちゃん」


「ん?何か言った」


「ううん、何でもないよ♪」


來海が何か呟いたみたいだけど、小さくて聞こえなかった。

嬉しそうに笑顔で、僕に抱きつき甘えてくる…たまには妹とは出かけよう。

今日のような嫌な事は、もう2度とゴメンだけどね!

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