第16話 「兄・妹・御・礼」
目的のケーキ屋さんは、駅からメインストリートの一つ裏側の通りにある。
ケーキのテイクアウトだけではなく、喫茶スペースがあり、そこでケーキとお茶を
楽しめるようになっていて、学校でも結構の評判みたいで、その上ケーキも美味しいらしい。
僕も以前から行きたかったんだけど、女性客ばかりで怖くなって引き返したのは苦い思い出です…。
リベンジの意味もあり、今日こそは色々と堪能したいところ!
來海もすごくワクワクした顔になっている、連れてきて正解だね!
「お兄ちゃん、このお店なの?とても可愛くて雰囲気の良いお店だね!」
「うん、僕の学校でもかなりの評判みたい、僕もこの店に入るの…実は初めてなんだよね」
「え!?そうなんだ…私と一緒で初めてなんだね?」
「あのその…うん」
來海…そこはツッコまないで!自慢気に連れてきた割に初めてなんです…
少し調子に乗っちゃったかな?何となく恥ずかしい!
とっ兎に角、入り口で立ちっぱなしもあれだし、來海を連れてお店に入った。
お店の中は休日もあってお客でいっぱいだった。しかも回り見ても女性客ばっかり!
以前の僕だと速攻逃げてました…うん、これは無理。
來海のほうを見てみると目をキラキラさせて、すごく嬉しそうだった。
カウンターに向かい、ショーケースの中のケーキを眺める。
色とりどりのケーキが陳列されていて、いろんな種類があり、その数も多い。
これはすごく悩む~何にしようかな…。
「來海?何でもいいからね、好きなものを選んでよ」
「うん!でもいっぱいあってどれも美味しそう…悩むな~」
これは見ているだけでお腹がいっぱいになりそうだよ…どうしようかな~。
タルトやモンブランも捨てがたいけど…よし!イチゴのショートケーキにしよう!
「僕はイチゴのショートケーキにするよ、飲み物はミルクティーで」
「私は…決めた!ブルーベリータルトにストレートティーで」
「分かったよ、会計済ませてくるね」
僕は店員さんに注文を伝えて、会計を済ませてトレイを受け取る。
來海もトレイを受け取り、空席を見つけてその席に着く。
早速、イチゴのショートケーキを食べてみる…すごく美味しい!
学校で評判なのは、すごく納得できる、良心的な値段だし学生にも人気になるね!
來海もすごく満足そうにタルトを食べている、ホントに良かった、ここに来て。
そう思っていると、來海が話しかけてきた。
「お兄ちゃん?なんで今日はいきなり出かけようって誘ってきたの??」
「あの…昨日は色々とあって…來海に相談する前に母さんから家にいなさいって
言われてたんだ…愛生ちゃんから急な相談あったからすごく気になって
出かけちゃったんだけど」
「私の服を借りに来た時だね」
「うん、來海は母さんにちゃんと説明してくれたから、そんなに怒られなかったから…
その時のお礼なんだよ」
「そうだったんだ…別に気にしなくて良かったのに…私は当たり前の事をしただけだよ?」
「でも…うん、ありがとうね來海、いつもいつも助けてもらってばかりだし…
たまには兄としてお礼をしたかったんだよ」
「じゃあ、そう受け取っておくね!」
「ありがとう」
何とかお返しができたかな?來海も喜んでくれたみたいだし…良しとしよう!
それから他愛のない話で時間が立つのを忘れるぐらい、とても充実した時間を過ごしたよ。
こうやってたまには妹と遊びに来るのも悪くないね!