第15話 「駅・前・散・策」
それから間もなく定期バスが来て、僕たちはバスに乗り込んだ。
休日のこの時間はすごく空いていた、うん、ラッキーだね!
2人とも席に座れるしね~來海と並んで座った。
バスに揺られて、20分ほどで目的の駅前に到着する。
その間、來海と色々な話をした、友達が買ったというグッズの話とか
最近食べたスイーツやお菓子で美味しかった!のとかイマイチだったのとか…
内容のない他愛もない話だけど、久しぶりに妹と話するのも悪くないと思った。
20分があっという間だったよ。
「駅前に付いちゃったけど…お兄ちゃんどうしよっか?」
「んーそうだね…朝ごはんを食べてから、そんなに時間もたってないし…
先に雑貨屋さんに行く?僕は場所を知らないから案内してくれる?」
「OK!じゃあついて来てね!案内するよ」
そう言いながら手を繋いでくる來海…あれ!?ついて来いって言ったはずだよね??
何で手を繋ぐんだろう…まぁ良いけど。
來海とは小さい時からすごく仲が良くて、よく手を繋いで歩いていたな…
だからなのかな?あまり恥ずかしいとか思わないのは。
周りから見れば、仲の良い兄妹に見えたんだろうけど…今はどうなんだろう??
僕が女の子になってしまったから、兄妹ではなくなっちゃうよね…姉妹かな?
僕自身が変わったわけじゃないから、それはまた違うような気がした…。
それから雑貨屋さんに到着して、お店に入った瞬間すごくテンションが上がった!
來海が可愛いと絶賛するのも納得だよ!ほんとに可愛いグッズが色々とあるのだから。
來海も何点か買っていた、僕も何点か買ったけどね!これは愛生ちゃんに見せなきゃ!
「良い買い物したよね~お兄ちゃん」
「うん!ここはまた来たいな~色々と集めたいし…
來海には感謝だよ、良いお店を教えてくれたんだから」
「お兄ちゃんも喜んでくれて…連れて来て良かったよ♪」
來海がすごくニコニコしている、可愛い子の笑顔ってホント癒されるよね~
僕もつられて笑顔になっていた。
いつの間にか、昨日の事や今朝の事が頭の中から、すっぱり消えていることに気付いた。
今日は來海にお礼をしたくて街に来たつもりなのに、気が付けばまた感謝することになっているよ…
ホント、僕にはもったいない良い妹だよ!これは早くお礼をしなくちゃだね!!
「あの…來海?そろそろケーキ屋さんに行ってみない?」
「うん!行く行く~少しはしゃぎ過ぎたから休みたいかも」
「じゃあ行こうっか!何でも注文して良いからね?僕のおごりだから」
そう言うと僕は來海に向かって右手を出す、それを來海が左手で繋いでくる。
昔の小さかった僕たちに戻った気がするよ…年を重ねるごとに妹とは距離が離れいった気がしてた。
それは僕が男性らしく体が変わっていったこと、來海が女性らしく体が変わっていったこと。
仕方ない事なんだ…って思ってたし、それが自然な事なんだと思っていた。
突然の僕の変化は、戸惑う事や慣れない事がたくさんあった。
でも、妹との距離が縮まったことについては、感謝をしたいぐらいだよ…でも少しだけだからね!
もともと僕は男の子だったわけだし…でも元に戻ることはないのかもしれない…。
それは誰にも分からないし、今、ここで答えを出すべきじゃないと思った。
來海に悲しい思いはさせたくないから…今を楽しもう!気持ちを切り替えて行こう!!