第14話 「駅・前・出・発」
來海がようやく僕の着せ替え遊びを終えた、とても満足そうだ…僕は疲れたけど。
僕は白のワンピースに、來海は黒のワンピースでようやく落ち着いた。
女の子のファッションに対しての情熱の凄さを見せられました…。
まず僕の服が決めて、それに合わせるように來海の服を決める。
僕には未知の世界でした…色々と勉強になりました、はぁ~疲れたよ。
兎に角、出かける準備ができたので、駅に向かうためのバス乗り場に向かう。
僕が住んでる場所は、街の中心部より北側の山岳地にある開拓地。
電車はなく、定期バスが唯一の公共交通手段だ。運転免許証があれば車で移動できるけど
まだ学生だから持ってないしね。母さんは車持ちだから買い物とかは車で行くことが多い。
母さんに乗せてもらって行くことできるけど…今は話をしたくない、今朝の出来事が原因だし。
たまには定期バスで行くのも楽しかったりする。ラッシュ時は乗りたくないけど
休日のこの時間だと空いてると思うしね、そう思うとテンション上がってきたよ~♪
ふと來海のほうを見てみる、來海も楽しそうだ。
「んと、來海は何か楽しそうだね?」
「うん!久しぶりにお兄ちゃんとデートだからね~楽しまなきゃ!!」
「へ!?でーと??」
妹と2人で出かける事は、デートになるの?
デートっていわば仲のいい異性の友達とか、こっ恋人とか…じゃないのかな?
「良いの!良いの!お兄ちゃんは、そんな細かいことは気にしない~♪
さぁー早くいこ?」
そう言うと、來海は僕の手を握って引っ張り、走り出していた。
「ちょっちょっと、來海!そんなに急がなくても、バスが来る時間にはまだ間に合うから…」
それよりも手を繋いで引っ張られてる僕の姿が、とても恥ずかしいんだけど…。
それに、バス乗り場は、愛生ちゃんの家に向かう時に跨いだ大通りが、バス路線になってるから
またおばさま達の井戸端会議に出くわす可能性が…って、いらっしゃいました…はぁ~。
「あら?昨日見かけた可愛い娘さんじゃありません?あの子」
「もう一人は…朝比奈さん所の娘さんだよね、確か」
「來海ちゃん…でしたかしら?」
早くも話題にされてます…こっちを見ながらこそこそと世間話をしていらっしゃいますよ、
しかも話してる内容がこっちにまで聞こえてるんですけど!
やめて!話題にしないで!!こっちを見ないで~~!!!
來海はニコニコ、僕は顔を真っ赤にして伏せている…おまけに手を繋いでいる
「話のネタにしてください!」って言ってるもんじゃないかー!!
早くバスが来てくれないかな…1分、1秒さえもすごく長く感じた、そんな気分でした。
「お兄ちゃん、今からすごく楽しみだよね!」
「うっうん…」
「誰か、僕を助けてください!」…そう叫ばずにはいられなかった…
心の中だけどね!




