第11話 「相・談・終・了」
いつの間にか、長居をしてしまった…。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうんだよね。
早く帰らないと、母さんが買い物から帰ってきてるはずだ…。
心配をかけるわけにも行かない。
そう考えていると、愛生ちゃんが話を切り出してきた。
「お互いに性別が変わっちゃったから、相談は簡単で済んで良かったよ」
本当にそう思う…。僕だけ女の子になった事で話をするだけだと
僕は不安でいっぱいだった…でも愛生ちゃんも同じ悩みを持ってくれている…。
それが嬉しくて、何よりも心強かった…。
でも、それは当人同士の問題…月曜から学校だし…みんなにどう説明をしたら良いのかな。
「でも明後日は学校があるし、ホントどうしよう…」
「うーん、ママが何とかするって言ってたし…まぁ何とかなるんじゃない?」
でた!女ちゃんの口癖「何とかなる」だよ…。
その言葉で何回も痛い目に遭ってきた事か…はぁ~そろそろ学習をしてほしいよ。
「またそんな事を言って…僕は不安でいっぱいだよ!」
そう僕が弱音を吐くと、ヤレヤレって感じで困った顔をした愛生ちゃんが、
いつもの明るい笑顔でこう返してきた。
「大丈夫だって、何とかなるよ!ボクも一緒だし…ね?」
僕の負け…その笑顔にいつも負けるんです。
これ以上ここで悩んでも仕方ないし…母さんも心配しているだろうから。
僕は帰る事にした…納得はしてないけどね!
「うっうん、分かったよ、今日は帰るね」
「OK!んじゃ~また月曜日に、学校でね」
僕は早々と、愛生ちゃんの家を後にした。
家に帰ると、母さんが心配して待ってくれていた。
「瑞樹!家にいなさい!!って、あれほど言ってあったでしょ?
あなたに何かあったんじゃないかって…すごく心配したわ」
やっぱり…心配させちゃった…ごめんね母さん。
「ごめんなさい…どうしても愛生ちゃんが相談したい事があるって言うから…」
「まぁ良いわ…あなたは無事だったし…來海から行き先は聞いていたから
そんなに問題じゃなかったんだけどね」
來海から話はしてくれてたんだ…さすが來海!出来る妹がいると助かるよ。
今度、何かお礼をしておかなくっちゃ!…甘いものでも買っておくかな?
駅前においしいケーキ屋さんがあるって噂だから…
見に行くついでに、自分の分も買ってこようかな~♪お小遣いピンチだけど…。
「それよりも…朱美ちゃんから聞いたわよ!愛生ちゃんが男の子になっちゃったんだって?」
さすが…母さん同士、親友だからもう話し合っていたんだね…。
当事者である僕達でさえ、今回の事はビックリなのに…
お互いの親達も余計にビックリするよね…それは仕方はないかな?うん。
「うん…その事でお互い相談しようって事になって…会ってすごくビックリしたよ!
本当に愛生ちゃん…男の子になってたよ、すごく格好良かったし…。」
今思い出しても、ホントにかっこよかったな~ちょっとドキドキしちゃったし。
「あら!?そうなの?私も見てみたいわ~♪
これで瑞樹のお婿さんとして、お迎えできるじゃない!」
へ!?母さんは何を言ってるの!!??…僕の…お婿さん!?
そっそりゃ…愛生ちゃん…の事……その…好き…だし…。
いっいきなり…けっ結婚とか…まだ…考えてないし…あのその…。
あれこれ妄想してると…恥ずかしくなって顔がだんだん赤くなっていくのが分かる…。
やばい!母さんにばれてしまう!!はっはやく、冷静にならないと。
「へ~瑞樹も隅に置けないわね…想像しちゃったんだ?」
「え!?ちっ違うよ!そっそんなこと…ないし」
咄嗟に誤魔化しても、すでにバレバレでした…恥ずかしい!!
母さんがすごくニコニコしてるし、やばいよ!
こっここは…さっさと他の話題に変えなくっちゃ!!
「そっそれよりも…あの…僕の服とか…買ってきてくれたの??
良かったら見てみたいな~って」
「あら、そうだったわ」
そう言うと…思いだしたように、手をポンと叩く母さん。
アクションが古すぎるよ…ってツッコミはやめておくね!話がややこしくなるから。
「色々と買ってきてあるから…合わせないとね。
ほら!こっちに来なさいな」
「うん」
それから、母さんが買ってきてくれた服や下着を着てサイズを合わした…。
それを母さんと妹の前でお披露目会…とても恥ずかしかったです…。
こうして…僕の激動な一日が終わろうとしています…。
愛生ちゃんの方は…大丈夫だったのかな?おやすみなさい…。




