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陶酔①
「なんで僕は皆を悲しませてしまうのだろう…これ以上迷惑にならないように吊ろう」
「ストーップ!早まらないで東水くん!」
「こんな僕にもまだ救いの手が差しのべられるの?ああ神様…」
死にたいなんていうやつに限って死なない。
自分に酔っているだけだ。
「どうしてそんなに生きたくないの?」
「君に話してもわからないよ…この深き心の闇は誰にもね」
「宵水くん、きっと生きていればいいことあるよ」
「みんなそうやって綺麗事を言うんだ…」
「さっき迷惑をかけるから死ぬなんて言っていたね」
「そうだよ…邪魔な僕が死ねば家族皆幸せさ」
「じゃあもう綺麗事なんていわない。
人が死んだらお葬式代とかかかるでしょ?
だから宵水くんの家族が迷惑しちゃうよ?」
「そんな更に追い詰めることを言われるとは…驚いたよ」
悲しむでもなく怒るでもなく
彼は笑っている。
ただのクラスメイトで会話をしたのは今日が初めてだというのに、こんなことを言えた自分に驚いた