主役、君と僕。(脇役、多数)
「人生、何が起きるかわからない」。
コレ、僕の持論。
それを望んでいようがいまいがソレは起きる。例えばそれまで普通に暮らしていた人が
人殺しになったり、ひょんな事からものすごい大金を手にしたりさ、極端に言えば。
でもこれはそんな事とは無縁の、世界からみればとても小さく、狭い、でも当人には
世界の全てだった君と僕の話。
1999年、中学三年。
受験も終わるとみんなは、『将来の不安も三年間は心配しなくてすむ』。という保証を得て
卒業を控え色めきだっていた。
友人達も溜まり場に集まってはコタツで毎放課後、作戦会議を開いていた。
最初は「誰」が「誰」を好きかとゆう、思春期の学生にしてみれば普遍的な
ベタ中のベタ。もう、猫にまたたび。 みたいな大好物から始まり、お互いの相手を
聞いては自分の番を考えて努めて冷静に「ふ〜ん」と、しかし内心楽しくて仕様が無い
のを抑えきれず、口元はニタニタと締まりがないままだったんだ。
今思えば人生でベスト10に入るような幸福な時間を共有していた。
お互いの相手がカブっていないのを確認すると今度は、どこが好きかを言い合う彼女自慢が
始まる。
…別に誰の彼女でも何でもないのだが、純朴な彼らにはそんな事は頭に無く、ただ今まで
誰にも話していない秘密を他人に話した。この事実がうれしかった。
話しているうちに思いはどんどん募っていき、止まらなくなっていた。
告白しようと誰かが言った。異論はもちろん誰もなかった。
方法はシンプル、かつとても可愛らしい。一人づつ別室に行き、意中の子に
電話する。そして呼び出す。
あとは不器用ながらそれぞれに、「好きだ」と「あなたが好きだ」と、…言う。
ね、シンプルでしょ。
結果は四人中一人がうまくいった。…ちなみに僕ではない。
とゆうかここまで話しといてなんだが、僕はその会合に参加いていない。てへ。
正確にはと、ゆう話を卒業後の春休みに友人たちから聞いただけなのだ。
それを聞いて僕が思ったことは、なぜ誘ってくれない?思いを告げたい人なら
僕だっていたのに。この誰にも言っていない秘密を話したかったのに。
居てもたってもいられなくなった僕は、告白する計画を立てた。
方法はシンプル。意中の子に電話して、呼び出す。そして思いのたけを告げる。
簡単簡単。春休みのある夜、僕は自分の部屋でタイミングを計っていた。
携帯なんて持っていない僕は直接家に電話する事になる。
となるとあまり遅い時間には親の手前もあり電話できない。
かといって、あまり早い時間では公園に人も多く、第一盛り上がらない。
『7時から9時だな』
タイムリミットを設定して僕は受話器を手に持つ。
持つ。
持った。
番号を押す。
…
……、
………、
押せない。最後のひとケタがど〜しても、押せない。
とりあえずリラックスの為に酒でも飲んでもみよう。ちょっと酔えば大丈夫。
で、一口飲んでみた。
全く酔わない。
じゃあ、もう少しだけ。
おかしい、いつもならすぐに気持ちよくなるのに今日に限って
まったく酔わない。
刻々と時間は過ぎてゆく。
「…急がないと。」
いつの間にか、ビールは2本目に突入していた。




