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「おおきな木」 シェル・シルヴァスタイン さく え ほんだ きんいちろう やく
久しぶりに読み返し、やはり感動してしまいました。
読む年齢によって、きっとこの絵本に対する受け取り方は変わってくるでしょう。
登場するのは一本のりんごの木と一人の少年。
木と少年はなかよしで、少年は木の葉を集めたり、木登りをしたりして遊びます。
少年は木が大好きで、木もうれしかったのです。
けれど、少年は大人に成長していき木で遊ぶこともしなくなります。
けれども木は無償の愛で、彼の願いを叶えてあげます。
自らの犠牲をもいとわない木が、悲しくもあり、切なくも思えるのですが、この「与える」という行為は喜びであると、訳者の本田さんはあとがきで述べています。
与える行為に犠牲を見てはいけないと。
母性愛にも似た話なのですが、子供のためなら母親は自らの身を与えてでも愛を与えるものであるかもしれないと確かに思います。
切り株となってしまった木。
けれども最後、老人となって現れた少年はその切り株に腰かけて休みます。
木はそれでうれしかった。
人生を考えさせられる絵本です。




