「やさしいライオン」 作・絵 やなせたかし
アンパンマンでおなじみのやなせたかしさんですが、実はこんな隠れた名作があったのをご存じでしょうか。
こちらの作品は、私がやなせたかし原画展で原画を見て知った絵本でした。
みなしごのライオン、ブルブルとめすいぬのムクムクの愛情の物語。
ムクムクはブルブルの親代わりとして、ブルブルの世話をします。
ブルブル いいこね
ねむりなさい
ねむりなさい
ミルクを たくさん のみなさい
たくさん たくさん のみなさい
夕焼けの景色に、血のつながりのない親子の愛情溢れる姿が描かれます。
やがてブルブルはどんどん大きくなり、ムクムクよりも大きなライオンになりました。
ある日ブルブルは都会の動物園に移されることになり、ムクムクと別れることになります。
そして何年か経ち、ブルブルはサーカスの人気者となっていました。
夜になり、ブルブルがお母さんのことを思い出していると、あの子守歌が聞こえてきました。
ブルブルはたまらず檻をやぶり、外へ飛び出します。
そして、町はずれの白い雪の丘で、ブルブルはいまにも死にそうになっているムクムクを見つけるのでした。
けれどもそんな二匹を、無情な運命が襲います。
離れてもなお、深い愛情で繋がっているブルブルとムクムク。
最後は悲しくて涙が零れます。
ブルブルはとてもやさしいライオンです。
きっと美しい月の空を、ムクムクと一緒に駆け抜けていることでしょう。




