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「真面目か!」「これが本来の領主様なんでしょ」

ガロン歴 エルイーオの月 満月の日

 

 ここ数週間ハルから離れていたのはやはり正解だった。

 

 日記を記す。読み返す。より良い未来への糧とする。

 幼少の頃より続けてきた事が私の救いとなるとは。

 ハルを愛する余り常軌を逸していた事に気付いたのは幸運だった。


 閉じ込めたいと思った。一方的に彼女のすべてを欲した。一種の狂気だ。

 

 それでも愛を感じる者もいるだろう。もっと縛り付けて、と願う者もいるだろう。

 私自身も願ったんだ。そういう愛し方を否定はすまい。だがそれは本当に愛なのだろうか。

 満たされていれば、狂気に陥る事はないのではないだろうか。


 少なくともハルはそんなものは望まないだろう。


 いつでも明るく太陽の様な笑顔。

 受けた者も同じものを返す。それがまた彼女の笑顔を輝かせる。自由に人と交わり笑いあい、思いやる。慈しむ。自分よりも相手の幸せを願う。満たされている。

 そんな彼女が想いを寄せるならやはりそういった相手だろう。 

 

 全ての人間がそうではないだろうが、人とは案外素直な生き物だ。

 悪意には悪意を、好意には好意を。狂気に返ってくるものは狂気だ。

 

 愛が欲しいのならば相手の求める愛を。求め彷徨い苦しむならば自らが変わらなければ与えられることはない。


 愛する事、愛される事。

 生まれや環境で変わるだろうが、それは人に許された自由だと思う。

 想いが通じる事はどれだけしあわせな事なのだろう。


 胸の内の炎によって私の想いは黒く染まってしまった。そんな黒いモノを記したこの日記――歴史を本当は抹消してしまいたい。


 だがまだやり直せる。

 ハルの暖かな笑顔が背中を押してくれる。


 今度はもっとまっすぐに彼女の求める愛を見つけたい。黒く染まった想いを、鮮やかに染め変えたい。そしてできれば、すこしでもいいから愛されたい。


 その為の自分への戒めとして、この日記は残さなければならない。

 次に読み返す時、少しでも自分が成長しているように。



 

 

当初考えていた初恋ほのぼのから離れた上心の成長をきちんと描けたか不安ですが初めての連載を無事に完結まで書けて本当に良かったです。読んで下さりありがとうございました!

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