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御徒町樹里シリーズ

イケメン妖怪ハンターリックの冒険(後日譚)

作者: 神村 律子

リックの久しぶりの冒険です。

 リックは古今無双のスケベです。


 御徒町樹里がありがたいお経を受け取った後、樹里を追いかけようとして、


「お前様!」


 奥方の遊魔に真空飛び膝蹴りと踵落としを食らいました。


「むぎゅう……」


 リックは気を失いました。


「お前様は遊魔をお見捨てになるのですか?」


 遊魔は意識不明のリックを首の骨が折れるほど揺すって嘆き悲しみました。


 


 しばらくして、リックは目を覚まし、遊魔と共に旅を再開しました。


 樹里が去ってしまい、廃人になりかけている孫左京を哀れみながらも、よく殴られていた事を思い出し、


(いい気味にゃん)


 心の中でほくそ笑むリックです。


「この先に妖怪が出るそうです」


 遊魔が立ち寄った宿屋の主人に話を聞いてきました。


 ありがたいお経を授かっても、世の中から悪が消える事はないようです。


「お前様、退治しましょう」


 遊魔が言いましたが、リックは、


「興味ないにゃん。先を急ぐにゃん」


 そのまま寝ようとしました。すると主人がやって来て、


「どうか妖怪を退治してください、先生」


 先生と言われ、少しだけ興味が湧くリックですが、


「退治したらいくらくれるにゃん?」


 某黒い医者のような事を言い出します。


「このような小さな街故、大したお礼はできません」


 主人は悲しそうに応じました。リックは布団に入りながら、


「ならダメにゃん。僕も慈善事業をしている訳ではないにゃん」


 非情にも寝てしまいました。主人は肩を落とし、


「そうですか。妖怪は絶世の美女で、不老不死の秘術を使うと聞きましたが。残念……」


 そこまで言いかけた時、リックは主人の襟首を掴んでいました。


「絶世の美女ってどれくらいにゃん?」


「楊貴妃にも劣らないそうです」


 その言葉に俄然やる気が出てくるリックです。


(退治するフリして、仲良くなるにゃん)


 ロクでもない奴だと思う地の文です。


 リックは舌なめずりして、


「その妖怪はどこにいるにゃん?」


 あまりの変わりように主人はリックを半目で見ました。


「お前様、遊魔は嬉しいです」


 遊魔はリックが下心からやる気になったのに気づいていません。


 いいコンビだと思う地の文です。


 


 翌朝、リックは主人にもらった地図を頼りに森の奥へと進みました。


(如何にも何か出てきそうにゃん)


 リックは辺りを見渡しながら進みました。


 すると、道の先で若い女がうずくまって泣いているのが見えました。


「どうなさいましたか?」


 あからさまに怪しい状況なのに、リックは不用意に女に近づきました。


「腹が減ってるから、お前を食う!」


 顔中口になった妖怪がリックに襲いかかりました。


「お前様!」


 遊魔が飛び、踵落としで妖怪を粉砕しました。


「わわわ」


 リックは腰を抜かしてしまいました。するとそこへ、


「少しは骨のあるのが来たようだね」


 美女が現れました。確かに美女です。楊貴妃も裸足で逃げ出しそうです。


 ですが、身長が某109並みに高いです。


(いくら僕が女の子が好きでも、こんな大きな子は相手ができないにゃん)


 リックは退治を引き受けた事を人生の中で一番後悔しました。


 


 めでたし、めでたし。

ということでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] え、これで終りにゃん? リックがぜんぜん活躍してないにゃん (T_T)
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