小話:ある朝の佐々木家
家族と住んでいると、色々な反応が返ってきますよね?
「明日の約束」と「約束の当日」の間の、とある会話です。
本編にきちんと織り込めない作者の力量不足の為に、小話として補足させて頂きます。
「なぁ、母さん」
「何ですか?お父さん」
「昨夜も思ったが、今のはヒナコか?」
「うちから『行ってきます』と言って出掛ける娘はヒナちゃんだけですねぇ」
「そうか、ヒナコ、か」
「なんだか昔見たエステのコマーシャルのようですね」
「『ナオミよ』かい?」
「そうそう、それです!スーパーモデルにならずに済んで良かったわぁ」
「そうか……?」
「ええ!あんな背の高い人が家に来たら、鴨居にぶつかりそうですもの」
「……(そういう問題か?)」
「あら?あらら?そう言えば、今日はヒナちゃんお休みって言ってませんでした?」
「!そうなのか?」
「確か言っていたような……でもお出かけしましたねぇ?お友達とお買い物なら一言ありそうですけど……これはもしかしたら、ひょっとして?」
「……(まさか、うちのヒナコに限って!)」
「お父さん、新聞がちぎれそうですよ。ほら、そろそろ家を出ないと!遅刻しちゃいます」
「あ?ああ……行ってきます」
「はい、気を付けて。忘れ物はありませんか」
「大丈夫だ」
「あぁ!お弁当!」
「……すまん」
「ほらほら、携帯」
「うむ」
「これは?今日お持ちになるんじゃなかったですか?」
「……ありがとう」
「いいええ。いってらっしゃい!」
おしゃべりな母と無口な父の設定です。