表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

【ホラー】海沿いの小学校の七不思議「4時44分の音」

作者: 屑屋 浪
掲載日:2026/08/02

「夏のホラー2026」参加作品です。テーマは「音」。

 オリジナルのホラー小説です。


【登場人物】

私      :語り手。

A      :霊感があるといわれている友人。

4時44分の音  :学校の七不思議に一つ。学校で四時四四分に聞こえる音。聞くと災いが起こると言われている。

 私の通っていた海辺の小学校の七不思議に、「4時44分の音」というのがあった。


 それは4時44分に学校で聞こえる音である。


 その「4時44分の音」を聞くと、化け物に襲われるとか、気が(くる)うとか、行方不明になるとか、死んでしまうとか言われていたが、人によって内容は違っていた。


 音自体も、女の悲鳴、サイレンの音、(かね)の鳴る音、大勢が(さけ)ぶ声などバラバラだ。


 それもそのはずである。誰も聞いた事が無いのだから。


 それでも遅くまで残っている生徒は、4時44分になると音が聞こえないように耳を(ふせ)ぐのが(つね)だった。


 ある日、私たちは「4時44分の音」について、好き勝手に想像して()り上がり、その流れでその音を聞いてみようという事になったのだ。


 聞くと(わざわ)いが起こると言われている音を聞こうだなんて無謀(むぼう)だが、子供ながらにただの(うわさ)だと思っていたし、それに、こんな肝試(きもだめ)しをしたのだと話せば、周りから勇気があると尊敬されると考えたのだ。


 数人が教室に集まった。その中には霊感(れいかん)があると言われていたAもいた。本当ではないと思っていたが、何かあったらAに(たよ)れると思って安心した事を(おぼ)えている。


 いよいよ4時44分が近付いて来た時、臆病(おくびょう)なDが「本当に聞こえたらどうしよう?」と言い出した。


 みんなは「塩を振りかければいいんじゃないか?」とか「神社や寺へ行こう。」とか言っていたと思う。


 するとAが「多分、大丈夫だよ。」と言ったのだ。


 Dは「どうして?」と聞いたが、Aは「後で教えるよ。」とだけ言って教えてくれなかった。Dは食い下がったが、そんな事をしている内に時間が来た。


 4時44分。


 みんな耳を()ませた。


 ミャーミャーと甲高(かんだか)く鳴くウミネコの声、ボーーーッという不協和音(ふきょうわおん)の汽笛、海から吹くヒューヒューという冷えた風の音、ザザーンと不規則(ふきそく)()り返す波の音、"おーい"という誰かが誰かを呼ぶ声……。


 いつも聞こえる音ばかりだった。しばらく耳を()ませていたが、変な音は聞こえない。


 まあ、そんなものである。


 想像通りとは言え、みんな少し拍子抜(ひょうしぬ)けした。Aはと見ると、Aが時々やる「(かみ)()いてフッと(いき)()いて外に飛ばす」という仕草(しぐさ)をしていた。


 みんな「聞こえなかったね」くらいしか言う事がなく、微妙(びみょう)な空気になっていた時だった。


ブォオーン!ウォーン!


 突然、低くて不気味(ぶきみ)な音が響いた。それはとても奇妙(きみょう)気味(きみ)(わる)い音だった。


「4時44分の音だ!」


 Dが(さけ)び、誰かが「ワーッ!」と声を上げ、私たちはオロオロと(あわ)てふためいた。


「みんな落ち着いて。」


 冷静なAの声が聞こえた。Aはみんなを(なだ)め、そして外を見るように言った。


 動揺しつつも窓から校庭を(なが)めると、数人の生徒が集まっていて、その中の一人が大きな巻貝(まきがい)(くち)に当てて、息を思いっきり()き込んでいる。


ブォオーン!ウォーン!


 さっきの音が聞こえてきて、音の正体が巻貝(まきがい)から出る音だと分かり、みんな一斉(いっせい)溜息(ためいき)()いた。


 結局、それをきっかけに帰る事になった。


 私はAと一緒に帰ったのだが、そのついでに、さっき大丈夫だと言ったのはどうしてなのか聞いてみた。するとこんな事を言ったのだ。


「もし聞こえても、それがその音だと気付かなければ、何も起こらないんだよ。」


 意味が理解できなくて、もう一度尋ねたが、Aは笑うだけだった。




 それから何年も()った後の話である。Aが(かみ)を数本()いて(いき)をフッと()いて外に飛ばしているのを見て、私は「それは(くせ)なのか?」と(たず)ねた事がある。するとAはこう答えた。


「これは厄除(やくよ)けだよ。」


 (かみ)()身代(みが)わりにして、良くないモノから(のが)れるのだそうである。良くないモノを見たり聞いたり()れたりして(けが)れが付いた時にするそうだ。


 それを聞いて私はゾワッとした。


 あの日、4時44分の後、Aはこの仕草(しぐさ)をしていた。つまり、(けが)れから(のが)れる必要があったのだ。


 その(けが)れというのは「4時44分の音」だろう。だとしたら私たちにも「4時44分の音」は聞こえていたのかもしれない。


 私たちが無事だったのは、それが「4時44分の音」だと気付いていなかったからではないのか?


 私は、あの時どんな音がしていたのか思い出そうとして、すぐに()めた。


 その音が何か分かったら、私の身に(わざ)いが起こるかもしれないからだ……。



おしまい。

お読み頂きありがとうございます!


昨年に「海辺の小学校の七不思議」を三つまで書いたので、せっかくなら七つまで作ろうと思い、今年も挑戦してみました。

意味が分かると怖い話みたいになりました。Aは別に「私」を怖がらせるつもりは無いのですが、結果的にそうなってしまいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ