1話 ラクガキ
土煙で全貌は分からない
風で土煙が薄れ額と頬が見える
額に傷痕
頬にも傷痕
片手に空の瓶
暗転
———
コンコンコン…
魔王討伐し空白勇者 ドロブネ
「ん?誰だ?」
ペラッ
ドロブネ
「こっちはお役目ごめんで自宅防衛中で忙しーんだ…隠居生活謳歌させてくれよ」
ペラッ
ドロブネ
「俺達の戦いはこれからだ……!……おいー!続かねーのかよー!」
ドンドンドン!
ドロブネ
「ったくうっせーな…いいとこだったのにー!…あーはいはい、今行きますよー…」
ポリポリッ…
頭をかき、遠くを見つめながら、週刊少年ドンドコドンという魔導書をベッドへ無造作にポイした
ガチャ
キィッ…
ドロブネ
「げっ!プリン…お、俺、お、お前のププ、プリンなんてしりませんよー…」
殲速抜刀のフビン
「プリンじゃない。フビンだ。ドロブネ…お主…本当にお主がやったのか…」
ウー!
カンカン!
ピー!ピー!
———
ポチャン
ポチャン
薄暗い牢獄に囚われる女と牢の外に幼子
牢獄の真の魔王マオ
「そろそろ帰らないとダメやで。そもそもこんなとこに来ちゃダメや…ほんに変わった子やで」
ハナ
「えーー!だってだってまおーのねえちゃんのお話面白いんだもん!」
マオ
「えへへ、そうかー?もう、今日はここまでや。あたいのお話を元に書いてんやろ?それ、今日のお話で結構書けたやろ?」
ハナ
「うん!今日はいーっぱい書けた♪ねーね、まおーのねえちゃん、なんでいい人なのにそんなとこにいるのー?あ!これ見てー!あたい書くのうまくなったかなー?」
マオ
「すっごいうまくなったなあ!マオねえちゃん勝てへんわぁ!」
キラキラキラ〜☆ハナは眼を輝かせている
ハナ
「にひひ♪」
ハナは弾けるような笑顔をマオに向けている
マオ
「……お前さん本当にかわえぇいい子やな……あの子にそっくりや……お前さんだけは、あたいが絶対に守ったるからな…」
マオの瞳にハナとハナに似ている子が重なっている
ハナ
「?」
マオ
「……魔王め…」
タタタタタッ
兵士達が慌ただしく走り回っている
兵士ヒョロ
「おい!ここは危険だぞ!裏切り者はドロブネだったみたいだぞ!ドロブネが石にしたんだ!奴はまだそばにいる!」
兵士クッキョウ
「そのお方は魔王なんかじゃない!ドロブネによって魔王に仕立て上げられた、真の勇者様だ!早く牢からだしてやれ!」
牢獄の真の勇者マオ
「…魔王ドロブネ、地獄まで付き合ってやる……!ハナが安心して暮らせる世界に絶対にしてやる……!」
牢獄のあちこちにラクガキ
無造作に置かれた紙に描かれたなにかのリスト
一文が見えている
【他人の記憶は誰にも分からない。そもそも本人の記憶は正しいのか?それすらも疑わしい】
———
森
フビン
「本当のこと聞かせてくれ…お前がやったのか?」
ドロブネ
「んだよプリン」
フビン
「プリンじゃない、フビンだ。もう何回このクダリやるのだ…」
ドロブネ
「てか、何だよ?プリンのプリンなんか、く、食ってねーよ!」
フビン
「…やっぱただのドロブネだな。こんな奴があんな事したなんて信じられんが…」
ドロブネ
「…おい、プリン…崖じゃねぇか」
フビン
「……」
フビン
「…プリンじゃない、フビンだ…」
ガサガサ…
森の中から仲間達が現れる
ドロブネ
「……。おいおい、どうしたんだお前ら….。あ、あれか?ドッキリか?もー、変なドッキリすんなよなー…」
フビン
「…なんで石にしたんだ…」
ドロブネ
「は?なんのことだ?」
真白極師 タス
「ドロブネー!みんなもう全部知ってるんだぞ!」
ドロミズ
「自分の家族とアイツの家族を全員石にしやがって…魔王が…!!」
ドロブネ
「え…?俺らで守っただろ…」
フビン
「何言っている……。ドロブネ、お前の手で石にしただろ……!」
ヒュッ…
ドシュン!!
ドロブネは崖に弾き飛ばされる
フビン
「……。もう、あのクダリはできぬ……」
落下するドロブネ
フビン
「さらば、わが友よ……」
夜空を見上げる
フビン
「プリンじゃない、フビンだ…」
———
続く
———




