第九話:危機
「”【解放】”」
バリィッ――!!
氷結していた地面は勢いよく四方に爆砕する。
氷の破片を無作為に撒き散らしながら、衝撃波が駆け抜けた。
その反動で全員は為す術なく大きく後ろに吹き飛ばされる。
「お出ましってか、、、、、、」
辺りを舞う氷の粉塵の向こうから、2mほどの影が現れる。
「”ノース・ゴーレム”ッ、、、、!」
そう、、、、その姿は「異形」といってよかった。
縦長の6角形の形をしたコアがはめ込まれた頭部から伸びる3本の腕、そして下から伸びる胴体と4本の足。背には氷柱が7本刺さっており、氷で作られた岩盤とも思える硬さを誇る。
かすかに土の匂いが香る。
「/フィリング・デフィニション【イラレリトPM】
――【発射】【超・完成弾】。
私の銃の技術を舐めないで。」
勢いを増すハンドキャノンの砲弾はコアに直撃するが、小気味よい音を立て弾き飛ばされた。
そしていつの間にかミリーティアはどこかに行って援護射撃に徹していた。
「【魔力装填】!”光線―――」
「”【飛翔乃氷械】”」
ノースゴーレムから発された10の氷盤。それは軌道を描き、光線砲の銃身に正確に直撃する。
光線砲は魔力装填の寸前に激しく損傷する。魔力の渦が霧散し、アッシュは発動を阻止された。
そしてノースゴーレムは2本の腕を合掌し、、
「”【解放】”」
「させねぇっ、、!!」
俺は機転を利かせた。光線砲の銃身に刺さった複数の氷の円盤を力任せに引き抜く。
それをそのままノースゴーレムのコアの方向に向かって投げる。
円盤は確かにノースゴーレムの胴体に直撃する。
インパクトは一秒後に発動した。
ノースゴーレムへの手応えはある。
「ストライクッ、、、、!」
俺は光線砲に魔力を貯め、それをノースゴーレムに向かって振り下ろす。
「”【簡易反射】”」
何十層にも重なる薄い氷の膜を作り、ゴーレムは刺突を無効化する。
「待つですぞっ、、、、英雄はっ、、、、遅れてやってくる!!」
「ヴェル!来たか!」
「来たのですぞっ!」
汗をかいて疲労した顔で、笑いながら人工魔法を唱える。
「【黙示録の爆炎:模倣】」
―――時が止まった。
「ふへへ、、、、総攻撃、なのですぞ。」
金色の瞳を揺らし、はにかんだ笑みを浮かべるヴェル。
ヴェルが「パチン」と指を鳴らした瞬間、静止したまま動かないノースゴーレムの周りに数十の爆炎が現れる。
「さて、時は動く。」
数十の爆炎全てがノースゴーレムに激突し、蒸気爆発を起こしながら辺りは1000度を超える。
ジュゥゥゥゥ、、、、、
ノースゴーレムは跡形もなくなっているように思われたが、、、、
「【”半永久冬眠”】」
氷のカプセルに身を包んでいたノースゴーレムは無事だった。
「、、、、!?」
、、、、、そんな時だった。
「、、、、弱い。やっぱり、お前はアーサーじゃないみたいだね。」
「ッ、、、!? この声、、、、シャパリュッ、、、、!!」
「今から此処一体の敵・味方残らず―――」
「鏖殺だ。」
歪んだ笑いだけが、この場に残っていた。




