第20話 友人と初詣
年が明けて、冬休み真っ只中。
俺、天城奏人は、
妹・紗良と、友人たち数人──そして澪と一緒に、
地元の神社へ初詣に向かっていた。
小さな神社だけど、
地元民に愛されている場所だ。
参道には、湯気を上げる甘酒の屋台や、
あちこちに並ぶ絵馬や破魔矢の露店。
吐く息が白く染まる寒さの中でも、
どこかワクワクする、そんな空気に包まれていた。
◇
神社に着くと、早速、長い行列。
並びながら、みんなでわいわい喋る。
「なぁ、今年の目標って決めた?」
友人の圭吾が、そんな話を振った。
「もちろん!」
胸を張ったのは紗良だった。
「アイドルになりますように!」
大きな声で宣言して、
周囲からクスクス笑いが起きた。
でも、誰もバカにはしていない。
むしろ、
「あの紗良ちゃんならマジでいけるかも」
みたいな、そんな空気だった。
◇
俺も、そっと手を合わせる番が来た。
賽銭を投げ、目を閉じる。
(……澪ともっと仲良くなれますように)
(玲央に勝てますように)
(交通安全、家庭円満、金運上昇、学業成就……)
お願い、盛りだくさんすぎる。
(……まぁ、いいよな。欲張るくらいがちょうどいい)
そう思いながら、そっと手を合わせた。
◇
願いを込めた後、
ふと隣を見ると──
澪が、もじもじと照れた顔で立っていた。
「……な、なに?」
尋ねると、澪は小さな声で言った。
「奏人くんと、同じお願い、したかも」
顔を真っ赤にして、
指先をいじりながらそう呟く澪。
(──殺す気かこの可愛さ)
不意打ちすぎて、
心臓が一瞬止まったかと思った。
でも、なんとか平静を装って、
にかっと笑って答えた。
「そっか。じゃあ、絶対叶うな」
澪も、恥ずかしそうに笑い返してくれた。
雪のちらつく初詣。
その寒ささえ、温かく感じた。




