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SF短編集:カップラーメンができるまで

スライムっぽい同僚

作者: 青太


「アラララララッ」と言いながら、同僚の体が溶けた。


 一瞬にして青緑色のスライム状になった同僚は、「いや、今朝は風邪気味でうっかり」と、聞かれるでもなく言った。「参ったなー」とオフィスの床をヌルヌル這う同僚。


 僕は、大学生の頃にやった飲食店のバイトで、あまり喋ったことのない先輩がお皿を割った瞬間に居合わせたときのあの独特の気まずさを思い出した。


「あっおれ、課長に言っとくよ。松原、体調不良で早退したって」


「マジ?そうしてくれると助かる」


 そう言って、ピャッと地面を滑ってはぐれメタルみたいに退勤する同僚。


 残された僕は、床に落ちている彼の社員証を拾い上げ、エントランスにピッとかざして退勤処理をする。少しヌメヌメする。


 その晩。今朝のアレ、突っ込んだ方がいいのかな、と悩んでいると、例の同僚からLINEがくる。

 『ごめんね』と『ありがとう』のスタンプの連投、あまり詮索しない方がよさそうだ。


 翌日。彼はいつもどおりの姿で出勤し、「ご迷惑おかけしてすみません」と課長にペコリと頭を下げていた。


「河野も、昨日は悪かったな」


「あ、いや」


「そうだコレ、頼まれてた資料」


「あっ、ああ、サンキュー」


 少しヌメヌメする。ひょっとして、まだ風邪気味なんだろうか。




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