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絶対にバレてはいけない秘密のラブゲーム決行開始!




********




「ふんふふふん〜♪」



学校を終えて、いつも通りの帰り道を鼻歌を歌いながら歩いている。あの英語の授業で、彼へのモヤモヤしていた誤解が解けたことと、何よりほんの少しだけど彼との距離が縮まったことが嬉しくて、一日中ルンルンで過ごした。



「結衣っ!!」


後ろから、いきなり肩を叩かれた。


「わ!!明日香!?」


振り返ると、やっぱり明日香がいた。


「ごめんごめん驚かせて!鼻歌まで歌っちゃって上機嫌に歩いてる結衣を見かけたから!」


「え!聞かれてたの!!」


鼻歌を聞かれていたなんて、明日香だとはいえなんだか恥ずかしい。


「なに、何かいいことでもあったの〜?」


明日香がニヤニヤしながら聞いてきた。


「うん、まあね〜」


私も得意げに返す。


「教えてよ〜!もしかして、黒崎蓮と仲良くなったとか??」


「え、いや別に…?」


いきなり、図星をつかれて動揺が隠せない。


(明日香、昔から鋭いとこあるんだよな…)


「え!まさか本当に仲良くなったの!?喋ったこともなかったんだよね?」


適当に言ったもののまさか本当にそうだとは思っていなかったらしく、目を丸くしながら聞いてきた。


「うん、たまたま席が隣になった時に少し話したくらいだけどね」


「そっか〜また進展あったら聞かせてね〜?」


明日香はまたニヤついた笑みを浮かべながら言った。


「進展とか!そんなのないから!」


顔の前で手を振りながら全力で否定したが、内心、そうなればいいな…という気持ちでいっぱいだった。


明日香と話していると、あっという間に私たちの分かれ道にきた。


「じゃあ、また明日!」


「うん!またね〜」


明日香に手を振って、また鼻歌を歌いながら家まで帰った。




********



「うーん…」



今日も授業の復習を終わらせてから、早めに布団に入ろうと思っていたところ、ノートを書けていないことを思い出した。


「黒崎くんに頼みたいけど…」


私は、中々勇気が出せずにいた。彼ともっと、もっと仲良くなりたいと思っているのに。


そもそも、今日はたまたまお互いの隣が休みだったから少し喋れただけであって、今後私から行動を起こさなければ、もしかしたら彼と一生話すことはないかもしれない。


「何か、きっかけがないと、、」


私は、自分の部屋中を見渡した。



「……!!これだ…!」



……決めた。私は明日から、ある作戦を実行する。いつまでも、怯んでばかりの自分じゃダメだから。






『ピピピピピピ…』



6時30分のアラーム音がなった。いつもなら、このまま大好きな二度寝をしているところだが、今日は違う。布団から起き上がって、音を止める。なぜなら今日から┄┄┄┄



「絶対にバレてはいけない秘密のゲーム、決行開始!!」




********




「結衣おはようー!」

「おはよー明日香!」


今日は、朝から明日香と待ち合わせをしていた。


「珍しいね〜結衣が朝一緒に行こうなんて」


「だって明日香朝早いからねー、今日は早起きしたから!」


今日早起きしたのは、明日香に”ゲーム”について話したかったのもあるが、それだけではない。朝から机に向かって、入念に紙に書いてきたのだ。


「ジャーン!!今日、私なりに黒崎くんについてまずは知るためにゲーム考えてきたんだ!」


バッグから取り出した白い画用紙を、明日香に広げてみせる。


「なにそれ?」


明日香はきょとんとしている。


「黒崎くんにバレずに色々なミッションを遂行していくの。名付けて、、絶対にバレるな!黒崎蓮と近づこう大作戦〜!!」


「そのまんまだね」


明日香は小さく拍手しながら笑っている。

私は書いてきた紙を見せながら、説明を読み始めた。


ゲームをする上でのルールは3つ。


①ミッションは1週間に5つ決める


② 月曜〜金曜までの学校に行く日で、必ず5つミッションをクリアしなければいけない


そして最後に③つ目 彼にゲームをしていることをバレてはいけない



「おーーーなんか本格的だね」


説明を終えて、明日香が感心したように言った。


「こうでもしなきゃ何も変わらないと思ったから」


「いいね、応援してるよ!」


明日香がいつもの優しい笑顔で言ってくれた。


「で、最初のミッションは何なの!」


明日香が興味津々で聞いた。


「今週のミッションは…」


私は、新たな紙を取り出して見せた。



① 『おはよう』を言う


② 『またね』を言う


③ 名前を呼ぶ


④ 名前を呼んでもらう


⑤ ノートを見せてもらう



一通り説明を読み終えた明日香は、さっきよりももっと感心した様子でまた拍手している。


「ほんとにすごい!頑張ってるね!」


傍から見たらすごく変なことをやっている私に対し、少しも馬鹿にすることもなくむしろ『すごい』と言ってくれる明日香の優しさが身に染みて感じる。


「いい報告待ってるからね!」


「うん、ありがとう」


私は少し照れながら微笑んだ。




********




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