2.私が聖女?!
「だーかーら!貴方も行ってくれる?」
「………へ?」
突然肩をポンと叩かれ顔を上げると綺麗な顔でにっこり笑う神様がいた。
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「息子くんを今の状態で元の世界に戻すことは出来ないってさっき説明したわね?
そしてこのままだと人族が新たな勇者か聖女を召喚して魔王を討伐するということになるの…」
「そんなこと…!!」
ガタッと大きな音を立てながら椅子から立ち上がる。私の慌てた様子を見て髪様が微笑み話を続ける。
「そう、そんなことされたら息子くんの身が危ないじゃない?だからその前に貴方が聖女として息子くんを助けに向かうのよ!」
「なるほど…………って聖女?!わたしが??」
急に聖女と言われ、こんなアラフォーに聖女なんて無理に決まってる。
さすがに聖女のイメージと自分がかけ離れている事がわかって困惑した。
「そうよねぇ〜聖女ってこう10代の可愛らしぃお嬢さんのイメージだものね〜こんなおばさんが?!って戸惑うのもわかるわぁ…」
なんか一言余計な気がするけど、その通りなので何もいえない。
「だから!姿と年齢をチョチョイと変えちゃましょうよ!」
「…………へ?!」
「そうねぇ〜とりあえず年齢は20程若くして〜髪の色と目の色も僕とお揃いにしましょ!その方が聖女っぽいじゃない?」
「ちょっ!ちょっとまって…」
「あとは使える魔法の属性は全属性で聖力や魔力もマックスにしておきましょうね!」
「あ…あの!だからまっ…て…」
「あ!あと僕とは常に通信可能にしておくわね!何か面白いこ…ゴホン!困ったことがあったら声をかけてね!」
今面白いことっていったよね。
絶対面白がってる。でも色々と優遇してくれるのは確かにありがたい。
「あ、あとこの可愛いあかちゃんは、このままここにいるわけにいかないから貴方と一緒に向こうの世界に送るわね。
この子も可愛いからお揃いにしちゃいましょう!
あと魔法は光と水と風の属性にしておくわね。」
突然四男の話題になりハッと我にかえる。
「え!この子もですか?!」
「えぇ、同じ事象で転移してしまった人を元の世界に戻すためには、同時でないとズレが生じてしまう為禁じられてるの…だから戻る時は3人同時じゃなきゃダメなの…」
「そんな…この子はまだ赤ちゃんなのに…」
ベッドの中ですやすや眠る我が子の頬に手を当てる。
少しくすぐったそうにする仕草が可愛くてつい口角が上がってしまう。
「だーいじょーぶ!そのかわりに私の加護と鉄壁の守りの魔法と自動回復の魔法をつけておくわ!」
と鼻高々に神様がそういうと、パチンと指を鳴らす。
その瞬間、綺麗な金色の光に四男が包まれる。
ありがたいけどそれっていわゆるチート?のような…と考えてると神様が両手を合わせパン!と音を鳴らす。
「もちろん貴方にも私の加護はつけておくわ!
あとは何か聞きたいことある?」
「元の世界に残してきた夫と子供達は…」
突然妻と子供2人も消えてしまって夫がどんなに心配しているだろうと思うと胸の内になんともいえない重く暗いものがのしかかる。
「心配よね…、そうだ!これ使ってちょうだい!』
そういって神様が手渡してくれたものはとても見覚えのある物だった。
「私のスマホ!」
「これで1日一通旦那さんにメールを送れるようにしておくわ。
異世界に送るから魔力消費が激しいから1日一通だけになっちゃうのよぉ。
それでもいいかしら?」
「はい!本当にありがとうございます!」
神様がふふと優しい表情で笑う。
「良いのよ、元はといえばうちの世界の時の精霊達のせいなんだもの。
あのこ達にはきついお仕置きをしておくわね!」
とさっきのやさしい表情から一変し笑顔だけれどもとてつもない怒りの表情に変わる。
綺麗な人は怒っていても綺麗だなと思いながら時の精霊達ざまあまろと思ってしまった。
「さて、そろそろ向こう側に送るわね。神殿の召喚の間に送るから後は向こうの神官にでも聞いてみて!
何かあったら僕に声かけても良いわよ。」
「はい!色々とありがとうございます!」
それじゃあと言うと神様がベッドで眠る四男をそっと抱き上げ私に手渡す。
私はしっかりと京斗を抱きしめた。
「いってらっしゃい。幸運を祈っているわ、まあ僕の加護があるから全然心配することないわよ!がんばってらっしゃいね!」
「はい!いってきます!」
そう告げると笑顔で手を振る神様が光だしまた一面真っ白になり思わず眩しくて目を瞑ってしまった。
2話目でやっと神様のところから出発します。
だいぶ気前のいいオネエの神様で現時点で一番好きなキャラなのでこれからも活躍すると思います!…たぶん?