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Emotional Colors  作者: 上川 千尋
第0章
2/12

「ーー」の断章②

※お読みになる前に目を通していただきますようお願い致します。


この「第0章」はあくまでも断章であり、この章のみを読むことで本作品の内容が明らかになるということではありません。

初めて本作品に目を通される方は、「第1章」からお読みになることを強く推奨します。

「第1章」等の本章からお読みになり、その後に「第0章」をお読みになると本作品をより楽しむことが出来る、かもしれません。

 意識が、戻った。なぜ意識を失っていたのか、はっきりと思い出せない。

 だが一度意識を失っていたことは間違いない。この心臓の鼓動が私の意識を文字通り叩くことで目を覚まさせた。

 次に襲ってきたのは胸からくる鋭い痛み。抑えていた左手を離せば、瞳に映ったのは真っ赤な液体。

 僅かに感じる温もりが、今はとにかく気持ちが悪い。どこから流れているのか分かったからだろうか。だが、不思議と嫌悪感は感じない。なぜだろう。

 次に意識が向けられたのは右手、赤く染まった「何か」を握った、この右手。右手を動かすと、握った「何か」も動き、すぽっと「何か」は抜けてしまった。

 ところどころ「何か」から見える白い光、それは銀色が光を反射した美しい光沢。考えなしに触ろうとしたが、反射を阻害する赤い液体が「触ってはならない」と訴えかけている。

 周りでは感傷に浸っている私を気にも留めずに騒いでいる。「何か」が刺さっていた物体を大きく揺さぶったり、声をかけている人もいれば、泣き叫ぶ人、それを数人がかりで止める人もいた。

 そんな中、冷静を装った人が声を大にして話し出した。それでようやく複数名が私の方へ近づいてきて、私の身体を強引に掴み、忌み嫌うかのように私を睨んできた。掴んだうちの一人が視線を下に向けたので、その後を追った。

 そこにあったのは、2つの人の形をしたもの。それは真っ赤に染まり、今もなお壊れたタンクのように液体を垂れ流している。

 私を掴む二人の顔は引きつり、視線の先には私の顔がある。

 ふと、私は自分の顔に両手を当てる。頬は僅かに上へ引っ張られており、私は悟った。

―――意識が戻ってから、私はずっと微笑んでいた、右手に血塗れの短刀を握ったまま。


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