第1話 とっても心配・・・・・
『スキル』 それは、人が生きる上で一番大事なもの。
15歳になると女神から与えられる、魔物に立ち向かうための技能。
スキルが強いということは、魔物を倒し、富も名声も手に入れる勝ち組の人生が待っているということ。
スキルが弱いということは、人の役に立てず、負け組の人生がっ始まるということ。
俺、サンタシア王国アストラル公爵家長男の、ルーク・アストラルは今とても緊張していた。
(もし、弱いスキルを手に入れてしまったら、大変なことになる………)
それは、自身が公爵家長男という立場でありながら、国に貢献できなくなることの怖さが混じった思いだった。
「大丈夫ですよ、お兄様!」
そんな俺を慰めてくれる心優しい少女は、俺の妹であるシリリである。
銀髪のロングヘアーに、青色の瞳を持つ美少女だ。
「だ、だって、もし明日いいスキルを得られなかったらこの家から追放されるかもしれないんだぞ!?」
「だから、大丈夫ですよ!お兄様が弱いスキルもらうわけないじゃないですか!そんなうじうじしてたら、貰えるものも貰えないですよ!」
「う、ううぅぅ………」
だって、もうすぐ人生の分岐点に来るんだよ?
落ち着いてられるか!
でも、確かにうじうじしてたら何も始まらないよな。
「よし、俺は頑張るぞ!」
「うんうん、その調子その調子♪」
多分だけど、俺の人生で一番幸せだったのはこの時なんだと思う。
そして、俺はまだ知らない。
自信が最も恐れていたことが、直前まで迫ってきていることに………