82.私の晴れ舞台
第82話
私の晴れ舞台
エマリーのヒトダマによって、儀式は中断していたが、騒ぎは収まったので、再開することとなったよ。
続いて、忍者カエデが部下と共に入場してきた。
忍者カエデ! フルネームで『忍野かえで』、仮名だな。
そもそも、日本人かどうかも怪しい。
アジアには、不都合生じると日本人を語る“偽日本人”がいるではないか。
しかし、彼女の諜報能力は素晴らしく、今回もカラス天狗の居場所は、彼女が見つけるようだ。
続いて、本来ならリリースの番だが、留置場にいるのでパスされた。
なので、No.2のジャンヌの入場だ。
ジャンヌの次は自分なので他人の入場を見ている暇なく、控室にもどる。
貴族のご婦人として正装をして、お付きの者を2人ドレスの裾持ちにしている。
城主様からお預かりしている“銀の鍵”を左の腰に吊るし、出番を待つ。
「キーナ様、出番です」
「わかりました」と返事をし、控室を出た。
会場からは、私の姿を見て嘆息が漏れる。
「おおぉ」
そこで、えらくはしゃいでいる娘を発見した。
「キーナ様!」
イリーゼじゃないか? 箱庭はどうしたのだ? あいつはやる気がないのか?
手をブンブン振っている。
あ、アイツと知り合いと思われているのだろうか?
これ、私の晴れ舞台なんだけど。
「きゃあ、キーナ様よ!」
「ちょっとイリーゼ君、座ったらどうやねん」
「はい、先生! ところで、皆さん、私は、今、キーナ様とお仕事をしているんですよ」
「おぉ、ほんまかいな?」
「そうなんですよぉ」
いや、君、私から依頼した仕事、さぼって、今、ここに来ているやないか!?
これは、突っ込んではいけないのか!
突っ込んだらまけってヤツだな。きっと!
上級魔女たちの入場が終わり、城主様から一言、頂くことになった。
「諸君、知っての通り、カラス天狗が地球再侵攻を行うことになった」
この一言で、会場は静まり返った。
「しかも、今回、エマリー達がジョンを追いかけて、分かったことは、太陽系には彼らの基地らしきものが多数あったことだ。
つまり、太陽系はすでにカラス天狗に抑えられている中での、苦しい戦いになる。
だが、しかしだ、太陽系にはアヌンナキの遺産もあった。惑星二ビルもあった。
彼らは、人類を見捨てた訳ではない。
事実、エマリー達は、彼らの宇宙戦艦に助けられている。
さあ、立ち上がろうではないか。諸君」
と、締めくくられたが、この日の城主様は、私には、やはりポセイダルに見えたが、他の者には、何に見えていたのだろうか?
この訳の分からん魔法で、“ズバーン”っと、敵もやっつけてくれんだろうか?
そして、式典は終わり、隣の部屋で飲食ができるようだ。
なので、私は、長い裾のドレスから着替えることにした。
そのころ、会場ではエマリーのヒトダマが曲芸をして、人々を恐怖させていたことは、私とは無関係のことだよね。
***
エマリーの曲芸は、他人の髪の毛を燃やして、人間松明というもの。
それ、シャレにならんよ。
次回の時空の魔女は、戦闘前の休暇です。




