73.前方後円墳型宇宙戦艦
第73話
前方後円墳型宇宙戦艦
惑星二ビルの衛星から発進した前方後円墳は、なんと宇宙戦艦であった。
前方の方墳の先端からは、エネルギー弾が発射され、大型の人工衛星も一撃で跡形もなくなってしまった。
ちなみに、人工衛星としうと、気象衛星みたいな小型のものでなく、宇宙ステーションクラスのデカい奴ですぞ!
さて、戦艦内は、人はいなかった。
そのかわり、埴輪がゴーレムかロボットのように働いていた。
カラス天狗も大きかったが、埴輪の方がもっとデカい。
10メートルサイズではないか?
しかしである。
アヌンナキは、10メートルの宇宙人である。サイズ的には、カラス天狗は小さいのだ。
そんなことを、考えているうちに、街に着いた。
『街に着いた』って、惑星の上ではない、宇宙戦艦の中に都市があるという感じなのだよ。
これって、移民船なのか?
まるで、超時空要塞の〇クロスの艦内じゃないか!
それも初代のブロック内にビルがあると言う感じでなく、空があるドーム型のタイプのやつだ。
さて、街の中は数体の埴輪が行き来していた。
何やら作業をしているように思える。
案内をしていた埴輪が、ある建物の中に入っていくので付いて行くと、鎧の一部が黄金の埴輪が待っていた。
どうやら隊長のようだ。
「ようこそ! こちらは惑星二ビル、月面警備隊隊長の太田です」
「「「えっ!」」」
いや、みんなの言いたいことは、分かるぞ。太陽系の果てまできて、『太田です』は無いだろう。
しかも、埴輪の名前が『太田』って、どういうことだっちゃ!
とりあえず、皆、社交辞令程度に挨拶を済ませておくことにした。
で、『太田』さんの言うことは、こういうことだ。
アヌンナキの巨体、埴輪兵士では、カラス天狗を退治するのには、うざにはく。骨が折れるので、地球人にも協力して欲しいと。
というか、何世紀にも渡り地球にも、カラス天狗は蔓延っている。
太陽系の安全のためにも戦ってほしいという。
あと、この戦艦で、地球まで送ってくれるというのだ!
あのカラス天狗の正体は、目を付けた惑星の生命体の科学力・文明に寄生して生き延びるエネルギー体だという。
だから、無機とも有機とも言えない。
単に寄生して、相手から攻撃を受けないように、身体のサイズなどを変えて、上手く生き延びているらしく、しかも外宇宙から来たものだと……
それを知ったアヌンナキは、自分たちの文明が盗まれる前に、一部の警備隊を残して二ビルを発ったのだ。
そして、自分たちの子孫である地球人にも、カラス天狗が害をなさないように、アヌンナキは、地球人の一部に神通力、つまり魔力を使えるようにした。
地球の大気に魔素、あるいはマナ、あるいはタキオンなどの粒子を遺産として残していったというのだ。
つまり、これが、アヌンナキの遺産。
それと、この戦闘艦と同じタイプの戦闘艦を時空城として、最初の人類であるアダムに預けている。
と、太田さんの話は終わった。
「アカン、理解の範囲を超えているわ」と、エマリーが叫んでいる。
まあ、私も似たようなもんだが、時空城は戦闘艦だったのか?
しかし、随所に森があって前方後円墳型とは気が付かなったな。それとバカでかいし、全体を見ることもなかった。
そうこうしていると、大型モニタには、海王星が映し出された。
「もう、海王星なの?」と、誰かが言った。
いや、いつ亜空間飛行したのか? 気が付かなったぞ!
それとも、通常空間でリリースのようにリープしているのか?
太田さんは、気が付いたようだ。我々が、この戦闘艦の移動速度が速いことに!
「この船は、タキオン粒子とアヌンナキの神通力を使って航行しているので、光の速さも越えられますし、短距離のタキオン粒子航行も可能です」
なんのこっちゃ?
「この船なら、6時間程度で太陽と二ビルを航行できます」
「!?」
もはや語るまい。
単純な科学力の差だ!
それと、時空城って、アダムとやらに預けているの?
それって、城主様のこと?
次回の時空の魔女は、地球に戻ってきます。




