71.残り1発
第71話
残り1発
時空船の後方に陣取る人工衛星は、なんとカラス天狗の基地であった。
そこから、今まさに、カラス天狗の中隊が出撃しようとしている。
「あぁ、エマリー。超電磁砲の残り弾数は1なんだけど。なんとかなるかな?」
「博士!? 弾のストックはありますか」
「ある! あるがライフルへの充電が必要だ」
「あぁ、充電式にするんじゃなかった。電池式にすれば、予備の電池交換さえすればよかったんだ」とマイコーが思わず、大声を出してしまったが、ここで反省しても仕方がない。
「エマ、とりあえず、この1発は撃つので、充電してくれ。その間、電磁砲で対処する」
「おぉい、ヤマト君よ。聞いての通りだ。もう1発撃ったら、一旦、ライフルを時空船に戻すよ」
「了解です」
「とはいったものの、1発で100体のカラス天狗と後ろに人工衛星は落とせんよな」と苦い笑いするキーナであった。
“ドォォーーーーン”と、マッハ6の弾丸がカラス天狗中隊のど真ん中を突っ切ると人工衛星に激突した。
大きな爆炎を揚げる人工衛星だが、
「あぁ、1発では落ちんよんぁ」と、時空船からため息が漏れた。
「まあ、仕方がない。ここからは格闘戦だ」と、キーナがつぶやいていたころ、時空船の通信モニタに、パブリチェンコからコールがあった。
「すまない。我々も戦う。補給を頼む」
「補給……」と船橋から声が漏れた。
今まで戦っていた敵に補給をすることに抵抗のない者はいなかった。
しかし、戦力が不足しているのは事実。
「断る理由は無いわ。パブリチェンコ、キーナ達をお願い」
「わかった。任せてほしい」というと、パブリチェンコ率いる戦闘機隊15機は出撃していった。
今度は、エマリーから私に通信があった。
「キーナ、パブリチェンコが出撃していったわ。今のうちに、帰船して」
「了解!」
ほうほう、奴らは戦うのか。まあ、後がないわな。
そして、時空船内で超電磁砲の特殊弾と不足電力分をチャージをすることになるが、その間、私は時空船内から、対物ライフルを改造した電磁砲で戦うことにした。
静電気発生装置のコードを電磁砲に繋いだ時に、トラブルが発生した。
電気が流れない!
いや、静電気発生装置が煙を吹いていた。
「これ、ダメなやつだ! 今まで、気が付かなったが、オーバーヒートだよ」
これから、頑張ってもらわないといけないときに、何でこうなる?
「エマリー様、人工衛星、もう1機、こちらに向かってきます」
「アヌンナキは、私達を返すつもりはないということなの?」
と、エマリーが思わず愚痴ってしまった時に、意外なところから通信が入った。
次回の時空の魔女は、カラス天狗はアヌンナキではなかった。
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