7.イリーゼが来る!
第7話
イリーゼが来る!
ここは、21世紀の日本!
京都市内だ!
新幹線が、スルスルっと、滑り込むように京都駅に到着した。
「京都、京都」と、JR東海のアナウンスが聞こえる。
やって来たのは、イリーゼ・ホルン!
“時空城”では、“時空の科学者”をしていた研究者だ。
その彼女がエマリーらに会いに来たのだ。
「なんで、新幹線で来るわけ? 時空操作で、直接、ここに来れば良いのにさ」と言ったのはキーナこと、私だ!
合理的判断だ。
時空城から、直接、時空の歪みを作れば良いのだが、未来で、世界的に有名になった日本の“駅弁”を食べるため、東京から新幹線でやって来たのだ。
ちなみに、イリーゼは未来人だ!
未来人は21世紀のことを知っている訳で、21世紀の人から見て、これから起きる未来を知るため、かなり制約を受ける。
とは言え、時空の魔女も時空の科学者も歴史の管理者では無い。
歴史が変わろうが、さほども気にはしないのだが!
「お久しぶりです。お祖母様、キーナさん」
「ここではお祖母様はご法度だよ。まだ、18歳なんだからね」
「では、エマ様でお願いします」
「ふむ」
「で、京都駅まで向かいに来ないと行けないわけ」と、言ったのは、『不満の多い女』こと、ワタクシ、キーナだ。
「いや、だって、日本の駅弁が食べたくって!
未来では、日本の駅弁は世界的に有名なんですよ」
「いや、知らんよ。それに迎えに来る理由になってないから」
「新幹線の中では、駅弁、2つしか食べれなかったわ」
「いや、だから聞いてないって」
「でもでも、京都駅の駅弁って、知ってます?
関西圏のほとんどの駅弁メーカーが特注で作っているって!
『京都駅限定駅弁なりぃ』と言う事で、晩御飯の駅弁も買っておきましたよ」
「だから、聞いとらんって」
「まあまあ、二人とも、お話があるので、移動しましょう。お茶でもしながらね」と、エマリーが宥めて移動することにした。
***
近くの喫茶店にて!
周りが見ると、大学生二人と女子高生が一人がお茶している様子に見えただろう。
「うーん、笑うぅ。
キーナさんは、“ずんだ王国”の“ずんだ姫”なの?」
「い、言うなッ! 本人もツライのだよ」
「でも、でも、これを黙るなんて、私には、とても、とても」と、イリーゼが爆発している。
まあ、下着をトイレで魔法洗浄した等とは、言えまい、ましてや知られてはなるまい。
知られてはならんのだ。
男物の下着を履かされ、大きなシミを作って、トイレで魔法洗浄したなど。
この将来を有望視されている魔法少女としては!
まあ、少女かどうかは、怪しいな。
何度も人生をやり直して、でなく、繰り返しているんだから。
繰り返してだよ!
時間操作で繰り返してるだけだから!?
すると、イリーゼが、
「で、キーナさん、他には何をしたんですか?」
「えっ? 何のこと?」
何を言っているの?
まさか、下着のことを知っているはずは……
「だって……」
だってなんだ?
「キーナさん、それだけで無いですよね?」
それだけ?
やはり、こいつは!
何か知っているかも知れない。
となると、相手が時空操作で逃げる前に、殺るしかない!
この喫茶店で殺るには、結界を張り、時空を切り離したい。
しかし、ここには、エマリーもいる。
結界を貼れば気が付くだろう。
結界さえ張れば、科学者は演算して対処するので、主観、つまりイメージさえ作れれば、発動出来る魔法の方が早い。
暗殺に向いている。
そして、暗殺、戦闘格闘、戦術の魔法が使える数少ない魔女こそが、この私、キーナ・コスペルなのだ!
よし、殺そう!?
「先から、キーナさん、スゴく赤い顔をされてますので、何か、スゴいことがあったんだろうなって、思ったんですよ!
違いましたぁ?」
窓ガラスごしに、自分の顔を見ると、もう爆発していた。
トマトだ!
トマトだっちゃ!
「そりゃ、男の娘になれって、肉塊を付けられたら、生きていけないって!」
「そうですよ! エマ様はヒドイです」
「ゴメンよ、相棒! 相棒の気持ちも知らずに」
こ、こ、こ、こいつ!
何か気持ちも知らずだ!?
何度も「ダメ」と言っただろうに!
アインコーンの血筋は、やはり消すべきだな!
「キーナさん、顔色が突然に変わりましたね」
みんな殺す!?
私の為に死ぬんだぁぁぁ……
次回の時空の魔女は、入瀬ほるんです!
読んで頂きまして、ありがとうございます。
アホの娘、イリーゼの登場です。