67.黒色雲
第67話
黒色雲
黒色雲と言うように、何もかもが黒一色、漆黒の闇とでも言おうか。
いつまで経っても黒なのだ。
徐々に、船内に焦りの色が濃くなって行く中、
「重力反応なし。金属反応なし」と言うレダー班の声に、コントロール室のスタッフから、
「「「ふぅ」」」というが漏れる。
もう黒色雲に突入して何時間が経過しただろうか?
周りが見えないだけで、向かう目的地がないだけで、追われているということが、1時間が何時間にも感じ、焦りを増幅させている。
「重力反応微弱ッ」
その時、緊張感がはち切れた。
「「「おおぉぉぉ」」」と、男も女も声を上げた。
しかし、しかしである。
単に『重力反応が微弱」なだけなのだが、今度こそ、今度こそ、目的地であって欲しいという願望が弾けたのだろう。
「10時の方向へ、10時の方向へ」
***
こちらは時空船です。
時空船は新テスラコイル船よりパワーがありますので、多少の重量圏は振り切れます。
そこで、土星のタイタンの近くを通過した際、カラス天狗の襲撃を受けた。
超電磁砲で撃退することが出来たのだが、戦闘用宇宙服と身体強化をすれば超電磁砲は普通に撃てることが分かった。
一度の出撃で2発から3発は撃てるようだ。
カラス天狗の戦闘ランチも一撃で撃滅できた。
これは、ジョン達の新テスラコイル船も超電磁砲で一撃で落とせることになる。
イケる!
このタイタンの戦闘で、皆、自信をつけることが出来たのだ。
しかし、戦闘をすれば先行するジョン達から遅れることになる。
「エマ!?」
「一気に詰めるわ! 亜空間飛行のエネルギーチャージを」
長期距離亜空間飛行のできる時空船であっても、先行するジョン達には追い付かず、黒色雲に到達した時は、4日遅れとなっていた。
***
「ジョン主任、重力反応ロスト。重力反応ロスト」
大きなため息が新テスラコイル船のコントロール室に漏れた。
そして、誰の耳にも、心臓の鼓動の音が聞こえるようだった。耳元に心臓があるようだった。
次に、汗が全身に噴き出した。メカ戦士を除いて……
「いや!? 巨大な重力反応、金属反応あり。1時の方向です。1時の方向に反応あり」
「「「うわぁ」」」
すると、黒色雲の中に、突如、灯りに囲まれた空間が出てきた。
なんと、人工太陽と言うべき発行体に照らされた惑星が現れた。
惑星なのだから月もある。
しかも、地球よりも重力は強かったので、新テスラコイル船は慎重に近づくことにした。
「これが、惑星二ビルなのか? そうに違いない」と誰もが思った。
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ぼちぼち、再開していきます!




