59. アステロイドベルト突入
第59話
アステロイドベルト突入
エマリーとキーナの時空船もアステロイドベルトへ突入する。
基本的に、アステロイドベルトは小惑星の密集地帯であるが、コンピュータによる自動航行で通過できる程度の密集地帯である。
間違っても、島航海長のようなアクロバットな航行をしないのであれば、自動航行で通過できる。
しかし、敵より3日遅れているわけだ。
惑星ニビルにつく前に追いつくのなら、追いついた方が良いのである。
最速の航路を計算し、そこを行くことにした。
小惑星の密度の高いところは、電磁砲で小惑星を砕いていくことにした。
そして、アステロイドベルトに突入して、数時間が経過したころ、自動警報装置が鳴りだした。
“ビー、ビー、ビー”
「なんだ? 敵か?」
「レーダー反応ありません」と、言っても、小惑星に囲まれているのだ、逆に反応が多すぎなのではないのか?
警報はなっているが、敵らしきものは見当たらないし、攻撃も受けてはない。
「戦闘隊形は維持でお願い」とエマリーが言っている。
警報はなっているが、敵は見当たらない。
だが、何者かに見られている感じがする。
かすかながら、魔力を感じる。ほんのわずかなのだが、感じるのだ。
そろそろ、警報が鳴って10分になろうか? 普通、この様なことはない。ジョン達は、出現とともに攻撃を仕掛けてくる単純な戦法だ。
次元牢屋でのパブリチェンコの様な手の込んだ作戦は、この宇宙空間では行っていない。それは、初めての宇宙空間で戦が練れないのだろう。
ハマーがしびれを切らしたのだろうか?
「もう、大丈夫なのでは無いでしょうか?」と言った。
しかし、エマリーは、
「ダメよ。まだ気は抜けないわ」と言ったことから、エマリーもこの見られている感じを感じているのだろう。
『何なんだ?』
その頃、先行する新テスラコイルでは、リリースが駆り出されていた。
「あと少しで、アステロイドベルトを出るってのに、何故、こんなに小惑星が溜まっているんだい」と、愚痴っていた。
その溜まった小惑星を重力魔法で飛ばし、進行できるよう航路を確保していたのだ。
「おかしい、航路計算では、こんなところに小惑星はなかったのだが」
「はい、ジョン主任。明らかにおかしいです。このようなミスはありえないと思います」
「うーん、どうしたものかな。まあ、まもなくアステロイドベルトを通過できる」
エマリー達の時空船の警報が鳴り止み、自動航行に移行した。
船員たちからは、安堵の声が漏れたが、しばらくして、また、警報が鳴りだした。
「10時の方向から、小惑星が突っ込んできます」
「砲撃しろ」と私は叫んだ。
全力射撃で小惑星は破壊できたが、破片が飛び散り、時空船に幾つか向かってきた。
「機関砲は?」
「間に合いません」
「仕方がない、魔法壁展開」と、私は10時の方向に向けて、魔力解放を行い、魔法壁を展開した。
時空船を囲む結界を作るより、飛んでくる方向だけに魔法壁を展開する方が、素早く発動できるので、こちらをチョイスした。
砕いた小惑星なので、それほどの威力はないと思っていたが、かなり強力だった。
魔法壁が壊れるのではと心配だったが、そこは、相棒!
エマリーが素早くフォローの追加の魔法壁を展開してくれた。
「はあ、ひやひやしたよ。エマ!」
「うん、それよりイレギュラーが発生するなんて、驚いたわ」
「各砲座は警戒態勢をとった方が良いかもしれない」
「そうね。そうしないと今みたいなイレギュラーには、対応できないわ」
すると、マイコーとテスラ博士が、「おかしい」と繰り返し話している。
「博士、どうされましたか?」と、エマリーが聞いている。
「いや、先から小惑星の動きが規則だっているようで、人為的に動かしているように見えるんだよ」
「まさか、ジョンが?」
「そんな余裕があったのは、ちょっと」と、マイコーが答えた。
「わからないですよね?」
「人為的と推測すると、まだまだ、アタックしてくる可能性はあるはずだ」
そう、今の時点でも“誰かに見られている感覚”は、消えていない。
誰かがこの船を見ている。
ならば、することは1つ。
次回の時空の魔女は、魔女対宇宙忍者の巻。新たな敵の出現か?
読んで頂き、ありがとうございます。
新たな敵とは!?




