23.次元牢屋
おはようございます。
ここからは、バトルです。
第23話
次元牢屋
「誰か来るわ。茂みに隠れて!」
と、キーナに言われ、エマリー達は茂みに身を隠した。
「4人から魔力反応は感じないわ」
「うん。それに無防備だわ」
すると、4人の会話が聞こえてきた。
「この辺りですよね。先の爆音は?」
「何もない。おかしい」
「すごい音だったのに」
その時、イリーゼが反応した。
「あっ! あれはテスラ博士と助手のマイコーさんです」
すると、イリーゼが立ち上がり、手を振りながら、
「博士ぇ!」と、呼びかけたのだ!
「アホか! 指名手配者に手を振るかよ」
「アホやわ! ダメやわ! 愚か者やわ…」
すると、キーナはタッタッタ! と茂みから、光学迷彩で霧の中に消えて行った。
「はい?」と、イリーゼが反応するも、キーナはおらず、エマリーだけが側にいた。
「テスラ博士、どうしてここに?」
「これは、イリーゼ君では? 何がおこっているんだい?」
イリーゼは、ワームホールが、暴走していること、博士達に説明した。
「では、博士と皆さんは、何故、ここに?」
「実は……」と、答えたのは助手のマイコーだ。
「ジョンから、『10番テスラコイルの定期検査に来たところ故障が見つかり、博士に来て欲しい』と要請があったんだ」
頷く博士達、科学者4人。
「そして、10番テスラコイルに着くと、気を失い、ここに飛ばされてしまったんだ」
すると、
「なるほど!」と、言いながら、博士達の背後から、M16ライフルを構えたキーナが現れた。
「「「ひぃぃ」」」
「キーナ!」
「おっ、すまん、すまん。驚かせるつもりは無かったんだけどね」
すると、
“ドパーン”という音が、遥か彼方から聞こえた時、キーナの前にいた、ハマーという助手が倒れた。
狙撃だ!
「ハマー!」
ハマーは、即死の急所ではなかった。
そして、つい! 横にいた朱杜康という別の助手が近づいた時、また!
“ドパーン”という音が響いた。
朱は手の甲を撃たれ、血を流している。
「ふせろ!」とマイコーが言った時には、マイコーの腕からは、血が流れていた。
「肉体強化魔法、開放!」と、キーナは叫び、3人を茂みに投げ込んだ。
「ひぃ、キ、キーナさん、荒いですよ」と、イリーゼが、慌てふためいている。
「これは、パブリチェンコのやり方だ」と、私、キーナは叫んでいた。
「なに? キーナ、パブリチェンコのやり方って?」
「あぁ、ヤツはわざと急所を外して撃つんだ。
怪我人を増やせば、部隊の負担となる。それを楽しんでいるんだ」
「えぇ! オートヒールが効く手前で銃弾がコントロールされている」と、助手の怪我の具合をみた見たイリーゼが驚いている。
オートヒールは、大きな負傷をした際、時間操作で負傷前に戻せるが、大きくもなく、死ぬわけでも無い負傷を与えて、苦しませる。
これがパブリチェンコのやり方だ。
まあ、科学者は魔法でなく、演算で行うので、ヒールではないのかもしれないが、同じようなことが出来るので、誰もオートヒールと呼んでいる。
エマリーが、「では、ヒールで治療しますね」と言った時、助手3人は、「助かります」と安堵したが、私が最悪の事を告げることになった。
「今、魔力を開放すれば、ここが蜂の巣になる」
「「「……」」」
相手も魔女なのだ、魔力を感知する。
そうすれば、ザブマシンガンの餌食だ。
キーナは思った。
現時点で、既にM16を魔法で亜空間から取り出しており、魔力を使わなくて済む。
そして、先程、肉体強化魔法を自身にかけれたこと。
これなら互角にやり合える。
パブリチェンコのカウンタースナイプと、どう闘うか、あれこれ考えるキーナ・コスペルであった。
読んで頂き、ありがとうございます。
やったぜ、バトル回の始まりだぜぃ。




