20.作戦会議
休み前の投稿です。
第20話
作戦会議
「イリーゼ、ということなの。ワームホールへ突撃をするわ」
「……」
何も言わないイリーゼ。
しばらくして、
「お祖母様が、そう決めたのなら、私も行きます」
エマリーとキーナは、自分達目掛けて突進して来るワームホールに、到着より先に突撃をすると言うのだ。
もちろん、ワームホールに魔女が突撃したとしても、このサイズのワームホールがどうなる訳でもない。
目的は、ワームホールをコントロールしているはずのテスラコイルを発見し、止めることだ!
おそらく、そこには、コントロール室をジャックしたテスラ博士がいるはず。
暴走をやめさせる事など出来るのだろうか?
不安だが、このまま、何もせずという訳には行かない。
イリーゼに暴走しているワームホールの正確な位置を計算してもらい、ルートの確保をした。
そして、ワームホールの僅かな歪みを発見した!
ここに、テスラコイルを隠しているに違いない。
戦闘になるやも知れないので、目一杯、武装していきたい。
火炎魔法が得意のエマリーが言った。
「キーナ、戦闘は貴女の分野よ!」
イリーゼは、キーナの魔法のことを聞いてみたくなった。
「どんな魔法を使うのです? 得意な魔法って、何ですか?」
ふと魔が差した。キーナは自分の得意魔法を答えてしまった。
「生活魔法!」
そう、パンツも瞬時に洗えて、乾かせる生活魔法だ!
「「……」」
「あっ……、ごめん。カミナリの魔法ですよぉ……電気系ですよぉ……」
実は、キーナは生活魔法をスゴく気に入っている。
元の時間では、貴族のご婦人で一生を終えたキーナは、大人になって洗濯を、母親ならまだしも、他人に任せることが好きではなかった。
子供の頃と、違って……
キーナが生まれた時は、貴族では無かったのだが、年齢と共に身分が上がって行ったという、稀有な人生を送った。
そして、子供たちに見送られたと思いきや、若返って、時空城で目が覚めたのだ。
実は、自分でも知らぬ間に、魔女試験に合格しており、判定者のハンネの配慮で、合格後も余生を過ごしていたらしい。
つまり、魔女試験の際、ハンネが試験後、元の時間軸へ戻してくれたわけだ。
その時のハンネの言葉が、
「“今回はダメね”、一度、後悔の無いように、元時間に戻りましょうね」だった。
ハンネが、“今回は”というと、合格の意味なのだ。
それも、何百年も前の話だな。
今、ハンネは昇進し、大魔女の1人になっている。
「大量の電気をテスラコイルの中で流すと故障しかねませんよ」と、イリーゼが言った。
「あぁ、それなら、私がそばにいるだけで、周りの戦闘力が上がる戦術魔法が使えるわ!」
「「おおぉ!」」
「そういうのが、聞きたかったのよ、相棒」
「すまーん」と、言うと冷や汗を吹くキーナだった。
「イリーゼ、敵の正確な位置は分かる?」
「やはり、先のワームホールの歪みしか考えられないわ。お祖母様」
「では、突撃の詳細を述べるわ。魔力は戦闘に使いたいので、テスラコイルへの突入はイリーゼの科学力で行います。その後、コントロール室を占拠。テスラ博士達を拘束するわ」
頷く二人。
「後、4日しかない。明日、行きましょう。二人とも準備をお願い!」
次回の時空の魔女は、ワームホールへ突入です。
読んで頂き、有難うございました。
ブクマ、よろしくおねがいしますね。
次回をお楽しみに!




