2.日本人に転生しようぜ!
第2話
日本人に転生しようぜ!
魔女試験のリストを見る2人。
「エマ、何? この女の名前はッ」と、笑い出すキーナ。
「どうしたの?」
「重量挙げ選手なのに、軽子だって、ガハハ」
「“かるこ”でなく、“けいこ”でしょう」
「えぇ、そうなの? “かるこ”と呼ぼうぞ! カル子だ! ワハハ」と、また笑い出すキーナであった。
キーナが笑っているのは、候補者No.3の“深井軽子”、日本人で重量挙げの選手だった。
「顔も男だよねぇ」
「そうだよね」
「魔力は、結構あるよね。すぐにでも使えそうね」
そう、魔女は魔力で時空の修繕、調整を行っているのだから、魔力は多ければ多い方が良い。
ただ、
“ただ”なのである。魔力の多い者は、大概、変な奴が多いのである。
しかし、深井軽子の魔力が一番高いかと言うと、実は、更に上がいた。
「カロリーネ! 現役の王妃だって!」
「今すぐ、実践で使えるのでは?」
「うん、行けるね! 変な奴でなければ」
そして、笑い合う二人。
魔力は“変な奴指数”とも言われるこの世界で、このカロリーネの高数値は、何かを期待せずには、いられなかった。
「カロリーネとカル子は、ほぼ決定でしょう? 楽勝じゃん。あと一人だよね。次に魔力の高いのは、誰なの?」
「例の男の子なのよ」
「それは、あり得ないよ。魔力数値が高いのは女の特権! 実は女なのでは?」
「さあ、どうなのかな? うかつに箱庭に入れたくないので、調査に行きましょう」
「で、それは、どうやるの?」
「私が、時間操作して、この子の姉になるわ。
男なのか? 女なのか? 見てくる。
男の場合は、男なのに、候補者になった理由を探るわ」
「それは、随分とご熱心なことで」
そう! キーナが審査をする際は、こんな丁寧な調査などはしない。
バトルだ!
バトルで勝った者が、魔女になる。
自身の魔力を上手く活用したから、バトルで勝利出来た。
バトルが出来る状態まで、支援し育てるのが役目だと思っている。
しかし、エマリーは、当人の家族になって判断するという。
別に時空操作で出来ることだし、禁止事項でもない。
歴史が変わったとしても、地球が生き延びれば良いのだ。
時空の魔女の仕事は、時空の管理であって、歴史の管理ではない。
そして、エマリー・アインコーンは、加藤絵麻として、彬の2歳年上の姉になり、彬を観察することにした。
さて、具体的には15歳まで、記憶を消し、高校に入学したら、全てを思い出すように設定した。
18歳になると、キーナと合流し、箱庭に加藤彬を入れるか否かを判断する。
また、15歳過ぎれば、魔女の力も取り戻し、時空操作で、この世界に戻ることも可能だ。
さて、エマリーは加藤絵麻となるべく、21世紀の日本に旅立った。
その間、キーナはエマリーの日本での出来事を鏡の間で観察したり、箱庭の手入れ、他の魔女の手伝いをして、約束の時間まで過ごしていた。
さて、その魔女ですが、年を取らない。
なぜ?
それは、自分の時間も操作しているからですよ。
フフフ!
さて、日本に行ったエマリーは、というと!
次回の時空の魔女は、まだまだ日本にいます。
読んで頂き、有難うございました。