17.イリーゼと王妃の初遭遇
本日、二回目の投稿ですわ!
第17話
イリーゼと王妃の初遭遇
深井が箱庭での残り時間が2年となったころ、アキュリアこと、女装した加藤彬とイリーゼが、ようやく遭遇することとなった。
その間に私達二人は、第三世代を箱庭に送り込んだ。
今までは、転生者と転移者がいるが、第三世代は転生者にした。
期待がし難い第三世代だから、しっかり育てて見るということだ。
さて、女装した加藤彬は、アキュリアと名乗っていた。
男装の深井軽子は、カールと名乗っていた。
そのアキュリアがイリーゼのいる東の街へ視察にやって来たのだ。
しかも、イリーゼの働くツェッペリン商会に行く予定だ。
二人のファーストコンタクトは、おはじき計算をしているイリーゼをアキュリアが感心するというもの。
想定外の行動として、アキュリアがイリーゼの仕事を見たいと申し出たこと。
その際、イリーゼがおはじきを落とし、アキュリアが拾って、つい手を握ったのだ。
頬を赤らめるイリーゼ。
「うわぁ、イリーゼが猫被りしとるわー」
「あの娘ったら、猫を被っているわー」
「先日、ネズミをミンチにして、内臓を撒き散らした張本人には見えないわー」
あれ以来、あの日の出来事は、『ネズミのミンチ事件』と呼ばれている。
「しかし、二人がコンタクトすれば、情報も増えるってことで、計画通りね」
そして、数日後、時空城から魔女の鏡の間に連絡が入った。
『新テスラコイルが故障しているので、ワームホールの管理ができないと!』という内容だった。
はあ? 何ですって!
「こちら時空城管理室!
新テスラコイルが何者かに破壊され、管理していたワームホールが、暴走を始めています。数日後、そちらの箱庭に激突の可能性があります」
「「何ですって!?」」
「そちらに向かっているワームホールは、甚大な被害を起こすと思われます。
直ちに試験を中断し、退避してください」
「エマ?」
「中断なんかしたら、またイチから箱庭を作り直さないと行けない。十八年掛けて作った箱庭をイチからなんて……
第三世代が全員箱庭入りしたというのに……」
「合格者の深井軽子を時空城に送って、もう二人、少なくとも一人は合格させましょう。あと一人なら、普通の箱庭で十分よ」
「そうね、カロリーネが妥当か……な」
「エ、エマ……」
「悔しいな、こんな魔女試験始まって以来の大規模試験の担当官になったのに、キーナにも手伝ってもらって、ここまでやって来たのに。
コントロール出来ないワームホールが来るなんてね」
「イリーゼも呼びましょう。事態の説明も必要でしょうし」
「そうね」
魔女の鏡の間にイリーゼが転送されて来た。
訳をエマリーが話すと、イリーゼは、
「それは、おかしいです。新テスラコイルは、簡単には故障など起こしませんよ」と言う。
「それは、どういうことなの?」
「新テスラコイルはワームホール等の時空の歪みを捕まえると、歪みからエネルギーをチャージしてます。半永久機関です。
それを止めることが出来るのは、これを作ったテスラ博士と側近の科学者だけです」
「止めるのと故障は違うのでは?」
「はい、故障した場合は時間操作が発動します。故障前に戻るように演算式が組み込まれています。オートヒールと同じ原理です。
つまり、故障はしていないと!」
「故障はしていない?」
「つまり、新テスラコイルの演算式を書き換えたと思うのです」
「何のために?」
「おそらく乗っ取るのでは? だから犯人は、まだ、新テスラコイルにいるはずです。 自分達の目的のために、再度、演算式を書き換えるはずです」
「そ、その犯人は箱庭を潰してる可能性があるの?」
「あぁ、私らは狙われているんだ!」
「どうしよう、キーナ!」
***
次回の時空の魔女は、人類誕生の秘話をお話します。
“男の娘”は異世界でステキな王妃様になりました 第14話より
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