12.血の池
おはようございます!
第12話
血の池
イリーゼが「演算集中ッ!」と、た叫んだ次の瞬間、広場は血の池と化していた。
誰一人、立っている者はいなかった。
そこで、間髪入れず時間が止められた。
エマリーだ!?
エマリーが介入したのだ。イリーゼは、魔女の鏡の間に転送された。
広場には、息のある者は誰もおらず、血の池が広がっていた。
鏡の間に転送されたイリーゼは、息を切らせ、動揺していた。
無論、このイリーゼはリミッターが解除されているので、町娘イリーゼでなく、時空の科学者のイリーゼ・ホルンだ!
「やり過ぎよ! 少し落ち着いて」と言ったのはキーナだった。
「わ、私、演算を人に使ったのは始めてだったの! か、加減が分からなくて……」
エマリーは、この話は本当なんだろうと思った。
そして、
「これからの手順を話すわ、よく聞いて頂戴ッ」
「は、はい」
「あのカマイタチの5分前に飛ばすわ」
「お祖母様、カマイタチって、どういうことですか? 私は、風を操って石を跳ね除けようとした筈です」
「イリーゼ、あれは風とは言わんよ」
「そうね、おそらく、イリーゼが風を操ったつもりが、強すぎて真空になり、カマイタチを起こしたんでしょう。
あの場にいた人は、カマイタチに切り刻まれて死んだわ」
そう言われて、イリーゼは、鏡を覗き込むと、誰も彼もが、身体中が傷だらけになって倒れていた。
ツェッペリン商会の仲間二人も倒れていた。
そして、血が吹き出して血溜まりは、まるで血の池の様だった。
これが私がしたことなの?
今まで、自分の演算能力は、時空の歪みやワームホール、天候などに向けてきた。それが、今日、人に使ってしまった。
その結果が、この血の池地獄だ。
「イリーゼ、5分前から、やり直します。
そこで、仲間と共に騎士を呼びに行くのです。騎士の詰め所まで走れますか?」
「やります。やってみせます」
「リミッターは解除のまま、転送しますよ!」
「はい」
「次は、介入はありませんから、しっかりね!」
気が付くと、イリーゼは広場でアンのダンスを見ていた。
ダンスが終わり、武装集団が現れた。
『このタイミングだ! 騎士の詰め所に行くのは!』
「ねぇ、クリスタ! ちょっと怖くない? ひと先ず出ましょう」
「イリーゼ、大丈夫よ!」
「そうだよ」
『えっ、何というイレギュラー』
「直ちに公演は止めて、この街から出ていけ!」という武装集団のリーダーの声が聞こえた。
もう、始まったのか!
イリーゼは、焦った。また、風をコントロール出来なかったら、カマイタチを起こしてしまうかもしれない。
皆を殺してしまうかもしれない。
自分だけでも騎士を呼びに行くべきなのか?
その間に、二人は投石に巻き込まれてしまう。
どうすれば二人を救い、かつ、騎士を呼べるのか?
ふと、周りを見渡すと、溝からネズミ達が顔を出していた。
次回の時空の魔女は、瀬戸際のイリーゼ!
結局、こうなるの?
読んで頂き、ありがとうございます。
緊急事態宣言かぁ。
出かけたいけど、まあ、一人ドライブにしときましょう!




