11.第二世代
おはようございます!
第11話
第二世代
加藤彬の箱庭入りを持って、第二世代は全て箱庭入りを果たした。
第一世代は、箱庭の様子見を兼ねていたから、二人とし、また、魔力指数も低い候補者を選んだ。
まあ、二人とも不合格なのは納得だ。
第二世代は、カロリーネ、深井軽子を筆頭に魔力指数の高い者が集まっており、ここで合格者を出さないと、後が苦しくなる。
悪くて、二人。
出来れば、三人合格してほしい。
その第二世代のメンバーは、
深井軽子
カロリーネ=マティルデ
ジプシー・アン
加藤彬
の四人だ。
第三世代は、期待しづらい。
まず、最も魔力指数の低いマリーネがはいっていること。
次に、残り三人は女騎士なので、死亡率が高い。
すると、今回の第二世代から三人合格するのが、ベストだ!
第二世代は、誰も戦闘員ではないからだ。
まずは、ロマをしているジプシー・アンが、東の街にいるイリーゼと接触しそうだ。
鏡の間から、夢通信でエマリーがイリーゼに情報を伝えている。
「アンが、この週末に東の街に入り、路上ライブ、大道芸を行うので、見に行くように」と、指示をしている。
もちろん、夢通信は夢が覚めたら忘れるので、無意識に書き込んでおく。
そうすれば、ロマの路上ライブに足が向くようになる。
また、箱庭の設定事項の追加でも行える。
今回はイリーゼの無意識に設定を加えたようだ。
ツェッペリン商会の経理部門で働くイリーゼ!
休日は、同僚二人を誘い、ロマの大道芸を見に行くことにした。
イリーゼ達が、街の広場に行くと、小さなテントが建てられ、その前では、占いをする女性や音楽を弾く若い男性が、人々の気を引いていた。
「ねぇ、私は占いに行ってみるわ」と、言ったのは、ツェッペリン商会でマネキンをしているクリスタだった。
「「あっ、私も」」と、カサンドラとイリーゼも続いた。
結局は三人で占いに行くことになった。
占いは、結構な列となっていたが、三人で話しながら、待っていたので、そう退屈はしなかったが、何やら、ギターのメロディーが流れてきた。
すると、テントから赤い衣装の女性が現れた。
ジプシー・アンだ!
口には花を口に加え、踊りだした。
黒い髪が、流れるように靡く!
先程まで、ざわついていた広場は、彼女の踊りで、その楽曲以外の物音は無くなった。
アンのダンスは盛況に終わった。
観衆もヤンヤと喜んでいる。
そこに、何やら怪しい武装集団がやって来たのだ。
「なんだ?」
観衆が、ざわつく。
役人では無い集団だ!
そのリーダーらしき男が言った。
「直ちに公演は止めて、この街から出ていけ!」
観衆は「なんだ? どうした?」という感じだ。
「さあ、諸君らも帰り給え!」と、観衆の中に入り、皆を散らしていく。
「これは、どういうこと?」と、言ったのは、ジプシー・アンだ!
「どうもこうもねぇ。ここはお前らの出稼ぎ場では無いんだ」
「ちゃんと、役所には連絡しているわ」
つまり、この二人の会話の言わんとすることは、こうだ!
武装集団は、アンチジプシー、アンチ漂流者なのだ。
漂流者は、定住者と違い、土地に縛られない為、納税をしていない者が少なくない。
今日、A国で売上、明日はB国に行く。
そんな生活をしている者から、税金を取るのは難しいのだ。
つまり、武装集団のリーダーは、自分達から吸い取り、納税せず立ち去るつもりなのか? と言いたい。
この様に、ジプシーを嫌う地方は、世界各地にあるのが現状なのだ。
しかし、アンは違った。
ここで公演、露天をすることは、役所に伝えてあるという。
つまり、この公演での儲けは、納税するということだ!
それは、武装集団のリーダーには、不思議なことだった。
なぜなら、それは、『経理が出来る』と言っているのだから。
自分達でさえ、そんな業務はさせてもらっていないのに、漂流者が経理が出来るだと!?
「嘘を付くな! お前らに計算が出来るものか!」
「ふん、“おはじき”ぐらい出来るわ」
この時、商会で経理担当のイリーゼは、アンの言うことは、本当だと思った。
いわゆる、おはじき計算だ!
そろばんなど無くとも、おはじき計算で十分に経理は出来る。
さらにアンは、
「役所に届けているか、どうかなら、役所に行けば良いじゃないか」
観衆が頷いているが、今日は休日なのだ!
その時、リーダーは、暴挙に出でしまった。テントを指差し、
「やってしまえ!」
アンは思った。
『着替えている娘はいないのか? 大丈夫なのか?』
しかし、手下が、もうテントの前まで近づいていた。
咄嗟だった!
投げナイフの演技に使うナイフを投げたのは!
グサリ!
手下の大腿部に刺さった!
皆が、ハッ!と息を呑む……
「よくも、テメェ」
武装集団が、テントやアン達に投石し、何人かが襲ってきた。
広場は混乱した。
そして、イリーゼ達、三人は逃げ遅れてしまった。
「いやぁ、助けて」
この声は、クリスタだ!
投石に巻き込まれてしまったのだ。
そして、今、三人の前に大きな石が投げ込まれた。
石に、当たる訳にはいかない。
その瞬間、イリーゼに掛けられていたリミッターが解除された。
「演算集中ッ!」
そして、次の瞬間、広場は血の池と化していた。
何をしたんだ、イリーゼよ!
次回の時空の魔女は、イリーゼが試されます。
読んで頂き、有難うございました。
こちらは、緊急事態宣言です。
そう考えると、なんだか、お腹が……
コロナとお腹は関係ないって(笑)
次回もよろしくね!
月曜日投稿予定!
下書きが書けぬ>.<




