たゆたふくらげ~理津美の家~
直美 (以下、直)「うわー!ひろーい!!」
理津美 (以下、理)「そんなことないわよ。」
直「いやいやいや、門から玄関まで歩いて5分とかないって!」
理「そうかしら?さあ、入って?」
直「うわー!ひろーい!!」
理「それ、さっきも聞いた。」
直「いやいやいや、さっきの広いは庭で、今の広いは玄関だよー!」
理「あ、そう、色々あるのね。」
直「ふわっふわの赤い絨毯が敷き詰められてて、BGMにクラシックが流れてるとか庶民の私には考えられないよー!」
理「うーん、これはパパの趣味だからなんとも……私の部屋は2階だからこっち。」
直「うわー、階段まで絨毯が敷いてある!まるで雲の上を歩いているみたいだよー!ふわっふわ」
理「そう……?ここが私の部屋。どうぞ?」
直「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってよ!なにこれ、直美の家の広さと変わらないよ!いや絶対、直美の家の方が狭い!」
理「そんなこと無いでしょ?」
直「あるあるあるあるあるよー!ベッドがないってことは、まさかだけど寝室は別にあるの?」
理「あ、うん。あの扉の向こうが寝室。」
直「まさかかっ!うわあ、マジか!繋がってるー!もー別世界過ぎて目眩がするよ……」
理「何でよ?(笑)」
直「だって、もう、どこの異世界に迷い込んだのかな?って、感覚になってる」
理「まぎれもなく日本だから安心して?」
直「わあ!大きな水槽!くらげさんがいるーっ!!」
理「ああ、年パスも買ったし、せっかくだから、くらげ飼ってみようって思って。」
直「せっかくだから……で、飼えちゃうのすごいね。この水槽の大きさ、趣味レベルじゃ無いよ。」
理「そう?」
直「うわーくらげたん、かわいい!いいなー。」
理「見てると心が安らぐよね。」
直「ほーんと水族館みたいだー!」
理「(笑) オーバーね」
直「くらげさん、ふわふわーゆらゆらー」
理「実際にクラゲを飼ってみると、中々奥深いのよね」
直「そうなの?」
理「うん。この子たち、意外と逆境に弱くて繊細なのよ。まあ、そこが可愛いというのもあるけれど。」
直「へぇ~そうなんだあ。何も考えてないようでも、苦労しているのだねえ……よしよし頑張るのだよ。」
理「水族館の展示だけでは、わからない部分が見えてくるから中々興味深いわよ。」
直「ほえ~そうなんだあ……ここに居たら、水族館に行く意味がなくなっちゃうんじゃない?」
理「そうでも無いわよ?色々参考にできることはあるし、それに水族館にはくらげ以外にも色々居るしね」
直「あ、そうでした!くらげさん以外にも生物がいるのでした!」
理「……まったく、どれだけくらげ好きなのよ」
直「えへへへへ」
理「まったくもう」
――ニャー
直「……あ、ねこちゃん!りっちゃん猫も飼ってるの?」
理「うん、3匹ほど……あと犬も。」
直「すごーい!動物園だっ!」
理「うちを娯楽施設みたいに言わないで。」
直「猫ちゃーん、おいでおいで~……あ、逃げた!」
理「猫は警戒心強いから、慣れるまでに時間がかかるのよね。」
直「ふうん、そうなのかあ……残念。」
理「まあ、そのうち慣れるわよ」
直「ああ……直美、りっちゃんの家の子になりたい!」
理「そう?」
直「だって毎日、くらげさん、にゃんことか動物達に囲まれてして、毎日ご馳走食べられて幸せそう!」
理「ご馳走って(笑)」
直「理津美お姉ちゃん!!」
理「何で私が姉設定なのよ(笑)」
直「んー……なんとなくそんな感じがする。また遊びに来てもいい?」
理「うん、いつでも来て?」
直「やったー!水族館とりっちゃんち、通い放題だ!くらげたん、直美とお友達になろうね!」
理「水族館と横並びなのが気になるけれど、まあ、いいか(笑)」
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【朗読/声劇】「たゆたふくらげ~理津美の家~」揺蕩海月~たゆたふくらげ~【癒し系ボイスブック】
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イラスト:あゆくま☆、ボイス:文月水咲、ライター:二区9