揺蕩海月~たゆたふくらげ~
――中学2年生の直美、理津美が水族館に来ています。
直美「りっちゃーん! 早く早くー!」
理津美「子供じゃないのだから走らないでよ。クラゲなんて誰も見ないし、そんなに急がなくたって大丈夫でしょ。」
直美「ちっちっちっ、りっちゃんは甘いなあ…くらげたんはね、この近年人気急上昇なのだよー知らないの?」
理津美「あーそーなの、はいはい」
直美「ほら、みてみてー! この透明で芸術的なフォルム……フワフワと浮き沈みする光景……はああ、いいよねえ……」
理津美「まあ、確かにミズクラゲは映えるわね。光線の演出で幻想的に見えるように、水族館側でセッティングしてるしね。」
直美「りっちゃーん、現実に戻さないでよー」
理津美「ごめんごめん。」
直美「はああ……この何も考えてない感じがいいんだよお」
理津美「まあ、くらげって脳が無いから、考えようとしても考えられないからね。」
直美「ええっ脳が無いっ! そ、そうなの?!」
理津美「脳どころか、心臓も無いわよ。」
直美「うそーーー! この子達は、どうやって生きているの?!」
理津美「泳ぐ力が殆どないから、基本的に水流に身を任せて、たゆたっている感じかな。傘を動かして上下するのが精一杯なのよね。それで脳が無い代わりに神経が張り巡らされていて……」
直美「やっぱりいい! 説明しなくていい! 雰囲気ぶち壊しだよー……!」
理津美「ああ、それは失礼しました」
直美「もー! もーもー!」
理津美「まあまあ、後でくらげさんの裏情報を教えてあげるから、機嫌なおして、ね?」
直美「えー、じゃあー、年間パスポート買って、直美のくらげウォッチングに付き合ってくれたら許してあげるー」
理津美「ええっ?! なにそれ!」
直美「あははっ! りっちゃんもくらげマニアになるのだー!」
理津美「直ちゃんには敵わないなあ。はあ、わかったわよ。それにしても年パス買って、くらげしか見ないとか有り得なくない?」
直美「へへっ、いーのいーの。たゆたうくらげさん達、綺麗だね。」
理津美「……そうだね、きれいだね。」
☆声優さんによる朗読はこちら
YouTube たゆくらチャンネル
【朗読女子】「揺蕩海月~たゆたふくらげ~」
https://youtu.be/IxOdsCnZvV4
イラスト:あゆくま☆、ボイス:文月水咲、ライター:二区9