東山家にて2
「ごめんね。
ここまで来てもらって。
じゃあ僕は経営には関わってないから邪魔ものだから出ていくね。」
そう言って東山は出て行った。
実際ここからは龍馬と親父さんとで会社の行末を握ると言っても過言でもない話し合いが行われるのであった。
東山の父親は貫禄が出てるが、夕食会で言われたようにかなり若めの40代ぐらいだった。
ちなみにこの部屋は大きなソファーが向かい合わせで置いてあり、間に長い机が置いてある。
全てが超一流の家具で揃えてあることに驚いた。
てっきり赤字の会社の社長なので節約して質素な家具しかないかなと思っていたからだ。
それでも大企業の社長だからこんな贅沢ができると言うことで納得した龍馬であった。
「君は確か龍馬くんというのであったね。
たびたび息子のあきらから聞くよ。
かなりのイケメンじゃないか。」
「そんなことないですよ。
それより、本当に経営危機なんですか?」
「なかなかストレートに聞くね。
確かに苦しい。
それも次世代の技術開発の研究にお金を割けないほどにね。
だから今、もし経営を黒字にできたとしても次世代の競争に負ける恐れがある。
だからお金を出してくれるところを探しているんだけどね。
なかなか見つからなくて。
昨日も銀行を回ってきて家に帰って来れなかったんだ。」
この時龍馬は親父さんに投資するということを知らないのかと疑うぐらい本題に入らない。
自分からお金を借りると言うのはプライドが邪魔してなかなか本題に入らないと思っていた龍馬であったが実際には会ってみて本当にお金を持っているのかということを疑ってたのだ。
やはりチートで成り上がった龍馬には金持ちのオーラはなかった。
「それで今回はあなたの会社に出資しようと思います。」
さりげなく東山の父はその話に入る前に龍馬の人となりを知ろうとしていたが計算が天然かわからないがこれ以上自分の性格が知られて相手が取引を有利に進めるのを防ぐのであった。
もちろん天然だろうが。
それとは知らずに計算と勘違いした東山の父親は思案する。
(なるほど。
少し厄介かもしれないな。
自分の性格を相手に分からせずにに交渉を開始するか。
しかも交渉に入るということは私の性格をあらかた把握したからなのかもしれない。
見た目では傑物とは微塵も思わなかったが交渉の仕方でこの人物が傑物だと言うことがわかった。
心してかからねば。)
そんなことを考えていたが当の本人は
(東山さんとの話し合い早くおわんねーかなー。
いくら日本の未来を変えるかもしれない話し合いだとしても、こんなおじさんとずっと喋ってはいたくないしなー。
本当は車を取りに行く予定だったのに最悪だわ。)
そんなアホなことを考えていたのであった。
親父さんが龍馬の決意に対して返答をする。
「その気持ちはうれしい。
でも君は学生だ。
私は昭和の人間だからどうしても若くして成功するというのが信じられないんだよ。
最近の世の中は若くして成功する人が多いのはわかっているんだけどね。」
「ならこれを見ていただいたらわかると思います。」
そういって株の取引き情報をスマホで見せた。
さすがにそれを見せられたら息子と同じように信じたようでこんな提案をしてきた。
「確かにこれで君も若くに成功した人間とわかった。
だからここから、君と僕の関係は息子の友だちとその息子の父親と言う関係から出資者と経営者との関係になるから言葉遣いを変えてもいいだろうか?」
「いえ、結構です。
このままの方が僕は話しやすいので。」
「わかった。そのままの言葉使いで話さしてもらう。」
東山の父の心の中では
(なんて器の大きさだ。
お金を出す側なのにこれほどの対応をしてくれるとは。)
そんな見当はずれのことを考えながらもついに話は具体的な出資の話に移っていくのであった。