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マネーキング  作者: もやし昆布
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不動産にて

「いいことを思いつきました。

 これなら解決できます。」


 唐突に龍馬はこんなことを言い出すのであった。

 流石にこの発言にはコーチは少し龍馬を疑う。


「そんな方法ありますか?

 僕は1週間ほど前から考えてるんですよ。

 なのになんも浮かばなかったんですよ。」


「任せてください。

 じゃあ早速その計画を話しますね。」


 話し終えたあと、コーチはそんなことはできるわけがないと決めかかるが龍馬の熱心な説明と龍馬の財布を見て徐々に信じていくのであった。


「そんなことが龍馬さんにできると言うのはわかりました。

 しかし、甘えるわけにはいけません。

 やはり、これは我々のサッカークラブの問題なので。」


 ここでも、人のよさが出るコーチだった。

 そんなコーチだから龍馬は助けたいと思ったのかもしれない。


「いや、手伝わせてください。

 自分も子供のころ、サッカーチームチームがつぶれてしまって幼少期悔しい思いをしたので。

 お金を稼いだのはいいものの今まで自分にしか使わなかったので人のためにお金を使えるのはうれしいんです。

 あくまで私の自己満足なのでそれほど重く考える必要はありません。」


 さすがにコーチも子供たちのことを出されると断ることもできず、結局かなり悩んでこの話を受けることにした。



 次の日、大学の授業も終わり帰宅途中の龍馬は地元の不動産に向かうのであった。

 地元の不動産と言うと小さいこじんまりしたのを思いうかべるかもしれないが大阪の都心にある不動産がそんなこじんまりしているしているはずもなくビルの15階にある。

 早速龍馬はエレベータに乗って15階に向かっていた。


 (微妙に緊張するなー。

 大阪に住んでいたくせにあまりこんな高い階に移動したことないんだよなぁ~。)


 そんなことを考えていると、不動産の前に着いたので早速入っていく。

 まず龍馬の目に入ったのはきっちり身なりの整えた45歳ぐらいのエリートサラリーマンの雰囲気がする男性だった。

 店舗自体も高級感があって自然の中にいるのかと錯覚するほど緑があふれていた。

 木をふんだんに使った美しい建築に目を奪われた。


「すいません。

 今日は少々相談したいことがあってきたのですが。」


「いらっしゃいませ。

 とりあえず相談は席についてからお聞きします。

 こちらへどうぞ。」


 そこから龍馬は店員さんについていき、おしゃれな店内を奥へと進んでいく。


「本当におしゃれですよね。

 森にいるのか勘違いしてます。」


「そう言って頂けて嬉しいです。 

 当社としてもお客様が居心地良く感じていただくためにこのような設計をさせてもらっているので。

 こちらの席で少々お待ちください。」


 少し待っていると先ほどの男の店員さんがコーヒーをお盆に乗せて2つ持ってきていた。


「お待たせしました。まずは自己紹介から。

 私は太田不動産大阪地区の統括マネージャーをしております織田と申します。」


 この時実はかなり龍馬は驚いた。

 まさかそんなお偉いさんがコーヒーを運んでいると言うことに。

 その驚きが素直に口からこぼれてしまった。


「統括マネージャーなのに僕にコーヒーを運んでくださったんですか?」


「何をおっしゃっているのですか?

 お客様におもてなしするのに地位など関係などありません。」


 この時龍馬はこの人にこれから不動産関係を全て任せようと決意する。

 同時に自分と人間としての器の違いを見せられるのである。


 この時の出会いが将来の龍馬に多大なる影響があると言うことを今、この時点の龍馬は全く気付いてなかったのである。

 


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