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紅茶パニック


気分が沈んだままの私に、ユリウスが黙ってカモミールティーをいれてくれた。あぁ、勿体無いことをしてしまった。これからは体感を鍛えるエクササイズなんかをやってみるか。


そしたら紅茶は零れることなく安心して飲めるのではないだろうか。よし、これからやってみよう。


「え?!」


心の中で物事が解決したとき、オレンジ色の髪をした、いきなり私にぶつかってきて、紅茶が制服にかかってしまった同学年の少女が、いきなり発狂した。


どうしたんだろうか。それにしても、とても可愛い顔をしている。こんな令嬢は見たことがないから、特待生だろうか。商人の娘とか?もしこれが私ではなかったら、退学させられていたかもしれない事件だ。


私に取り巻きがいなくてよかった。まぁ、私が紅茶姫と呼ばれるほどの令嬢で、取り巻きがよって来なかっただけなんだけど、こんな事件をおこせる令嬢なんて私しかいないだろう。


自慢じゃないけど、いつでもどこでも紅茶を飲んでいる令嬢なんて私しか知らない。


「ユ、ユ、ユ、ユユ、ユ、ユユユ」


……え?


オレンジ以下略はどうしてしまったんだろう。震えているし、もしかして、ユしか喋れなくなってしまったとか?……そんなことはないか。と言うか早く制服の紅茶をとらないとシミが残ってしまう。これは多分いい制服だろう。


ぶつかってきたのはオレンジ以下略だけど、かけてしまったのは私だから、責任を感じる。私の予備の制服を渡そうか。


じゃあまだ震えているオレンジ以下略を連れて着替えてもらおう。時間もなくなってきたし。



「ユリウス様ーーーー!どうしてこんなところにいるんですか?!」



……ん?

今日はよくわからないことがいっぱいあるな。

ユリウスは私の従者で、どうしてオレンジ以下略がユリウスの事を知っているのかが意味不明だ。しかも様付けって。


オレンジ以下略はユリウスと会ったことなんかないはずだ。


気になるが時間がないので取り敢えずオレンジ以下略を連れていこう。


「ちょっと、ついてきてくれるかしら」



「え?……貴女は、マリーローズ?私をいじめる気なのね!……いやぁぁぁ!ユリウス様、また会いましょう!」




オレンジ以下略は私の事を見るなり呼び捨てにして、しかも嫌と言って私に体当たりをして走っていった。なんで知りもしないオレンジ以下略をわざわざいじめなくてはいけないんだ。 

そんな時間があるなら紅茶を飲みたい。


…紅茶…お分かりのとおり紅茶は零れた。……今度は私に。


はぁ、今までこんなにも紅茶を無駄にしたことなんてなかったのに。オレンジ以下略のことは何も分からないけど、会うことを避けた方がよさそうだ。


私の紅茶が犠牲になる。ユリウスにも余計な手間はかけさせたくない。


オレンジ以下略も私がオレンジ以下略をいじめる人物に見えているならよってこないだろう。よってきたらただの馬鹿ってことになる。


さすがにそれはないだろう。特待生や商人の娘や息子はある程度の学力がないと通えないのだ。特待生なんかは特に。


あの人は、一体なにがしたかったんだろう。オレンジ以下略は私に疲労を残して行ってしまった。あー、紅茶飲みたい。癒されたい。


「マリーローズ様、予備の制服に着替えましょう」


ユリウスはすぐ私のティーカップにカモミールティーをいれると、予備の制服を渡してきた。


ブレザーが汚れただけだから、そこだけ着替えればもう終わる。


さっと着替えると、オレンジ以下略のことは忘れて、入学式の会場に向かうことにした。


「ユリウス、行くわよ」


「はい、マリーローズ様」


……なるべく早歩きで。



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