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僕のお嬢様は

ユリウス視点です。


僕の名前はユリウス·アクア·ウォルセリーデ。現在11歳だ。でも今はとある理由で家名は名乗らずユリウスと名乗っている。


本来は従者などをする立場ではないが、マリーローズと言う名の侯爵家の令嬢が14歳になったら通う学園を無事に卒業するまで家には年に一度パーティーがあるときにしか帰ることが出来ないため、しぶしぶ隣の国へやって来た。


僕の自慢であった金色の髪も茶色に染められ、瞳も魔法で茶色に変えたが、まぁ、そこは我慢しよう。


そう言えば、この国には魔法と言う概念がなかった気がする。と言うか何故母様がマリーローズと言う隣の国の令嬢にそこまで執着しているのだろう。


でも、母様はよく変なことを言っていたし、たまに知らない国の言語を使うし、前世はニホンとか言っていたし、僕に『おとめげーむ』と言うものが何なのかを延々と聞かせてきたからなんとなく理解はした。


僕がマリーローズの従者になる理由を整理すると、ここは『おとめげーむ』の『きらびやかな世界で』と言うものが元になった世界で、…よくわからないけど僕も攻略対象と言っていた。その話が始まるのはヒロインが14歳になり学園に通う時らしい。


それで、マリーローズはヒロインをいじめる悪役令嬢で、最後は断罪されて死刑にされてしまうみたいだ。

母様は前世でマリーローズと言うキャラが大好きだったらしく、せっかく転生したならマリーローズが歪んでしまう前に一番年の近い僕が従者になって、死刑エンドを回避してほしいと言うことらしい。歪んでしまう、と言うことは元は普通だったのか?うーん……。まぁ、それは置いておこう。


しかも母様はあわよくばマリーローズのクズ婚約者なんか無視して僕と婚約させるつもりだ。


僕はマリーローズと言う令嬢がどんな人なのかも分からないし、母様の考えも信じたくはないけど、もし死刑されるのが本当なのだとしたら止めたい。


……でも、どうせマリーローズの性格が悪かったせいで、自業自得なんだろう?


なら、なんで僕が……。


そんなことを考えたってもうマリーローズの屋敷についてしまっているし、と言うか、もうドア開けたらいるし。


はぁ、憂鬱だ。


「入って来なさい」


侯爵に呼ばれたので行くとする。本当はマリーローズの従者なんて要らないらしいが、相手が相手だったため、断れなかったんだろう。母様には立場を最大限生かしてマリーローズを守れと言われた。


ドアを開けると、銀色の髪をした子息と、ピンクベージュの髪の令嬢と、同じくピンクベージュの髪のうつむいている令嬢がいた。


もうマリーローズが誰なのか分かってしまった。母様は歪んでしまう前と言っていたから、あのうつむいていて、少し幼い令嬢がマリーローズだろう。姉がいると母様も言っていたし。……そして、この家での立場も悪いっぽいな。


いや、これから仕えるなら様をつけないといけないか。様なんて両親にしかつけたことがないから新鮮だ。


「初めまして、マリーローズ様。これからマリーローズ様に仕えさせていただくユリウスと申します」


僕はかしずいてマリーローズ様の手にキスをした。うわぁ、キザだな。


「…マリーローズ、話は以上だ。用がないなら出ていきなさい」


酷い父親だ。それに、マリーローズ様は一回も前を向いていない。この家で、どんな扱いをされてきたのだろうか。前言撤回、まだ性格が悪いわけでは無さそうだ。悪かったらもっと父親を睨むなりなんなりするだろう。

歪んでしまう前、と言うのはこう言うことか。……分かった。


マリーローズ様が出ていってしまうので僕もついていった。それから、マリーローズ様と話したが、優しい人だった。頑張って目を合わせようとしていたし、笑いかけてくれた。


欠点を言えば、マリーローズ様が自分自身の事を卑下すると言うところだが、それも全部あいつらのせいだろう。思い出してイラついてしまい、マリーローズ様を睨み付けたように見えたかもしれない。


でも、いきなり謝られてしまったときには驚いた。逃げてしまったことにも。


「あーあ、マリーローズ様はまた逃げてったわ。現実が受け止められないのかしら。9歳になったって言うのに。お二人とは大違いだわ」


「そうね。おかわいそうに」


侍女と思わしき二人の女が、マリーローズ様の事を馬鹿にしたように笑っていた。9歳になった?まだ、9歳だろうが。


この家にマリーローズ様の味方はいないのか?


僕はそいつらをキッと睨み付けて、マリーローズ様を追った。部屋に行く途中、疲労にはダージリンがいいと言っていたことを思い出したので、いれてみることにした。紅茶は何度もいれたことがある。


これで、マリーローズ様も少しは喜んでくれるかな。笑ってくれるかな。僕は心を込めて紅茶をいれた。


僕が、マリーローズ様の味方になる!


その紅茶が、あまりにもマリーローズ様に効いてしまい、周りから紅茶姫と呼ばれるほどになってしまったのは……少し先の話だ。




お読みいただきありがとうございました!

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