エキサイトする戦い
っで、俺達は地道にウィルメシアスを倒していく。
幹部クラスでは無ければステイも使う必要ない。
「ムーンサルトバブル!」
アイーデの魔法は成長している。
「カナディアンデストロイヤー!」
カナディリアは一回転し頭から敵を落とす。
「フォーレイン」
ユーディストは相変わらずの魔法の腕は一流だ。
後は俺、素手でウィルメシアスのウィザードを撃破していくだけだ。
手応えがなくこんなものは応急処置でしかない、ゴキブリ卵と同じで元を絶たなければいけないのだ。
「……遅い」
拳を叩き込み、この場にいるウィザードは全員気絶。
「紅茶を飲む暇もないのかしら、アッサムはやはりミルクが合うというのにニルギリギリギリだわ!」
「紅茶なら戦いが終わった後一緒に飲もう。だから生き残ろカナちゃん」
「そうだね、ユーちゃん。勝どきを上げて高い紅茶を飲みながらナイトにズンボズラダンスを躍らせるの、その暁に世界は私達がまた救ったって」
ズンボズラダンスとは何なのか、まあ絶対踊らないが……
俺達はそんな会話をしていると、目の前にある男が現れる。執事のスーツを着た伝統ある老紳士だ。
「……誰だよ」
三人の顔が変わるのを見ると相当の手練れ、つまりはウィルメシアスの幹部だ。
「これは失礼しました。私の名前はジョニルバ、貴方がザウィードを倒したキリングさんでしたな」
「そこはナイトでしょ!」
「名前の論点はどうでもいいかな……それよりも」
ユーディストのアイサイン。相当の実力者ということは分かった。
「何の用だよ執事さんが……デスラドルガスの場所を教えてくれるのか?」
「あの方を裏切ることなど私にできるはずありません。ならば何故来たのかあなた自身でお考えてください」
「誰が考えるか、考えるのは嫌いなんだ」
「そうですか……ならば、貴方からまずは」
殺気。しかしもう一つある。
「同時かよ!」
攻撃を防ぐ。
そこには銀髪の少女。
「きたきたきた! コロッセオコロシアム!」
コロッセオコロシアムってなんだ。しかも手元に大量のナイフがある。
「ナイフなんて危ないもの君には似合わない!」
「なら何が私に似合うと思う?」
「……ナスビだ。それと青椒肉絲」
「スペイルド様もこちらへ」
「だって強いんでしょ? この変な人」
「おい待て変な人って俺のこーー」
「あなたに決まってるじゃない! だから殺しに来たのよ!」
そう言うと、沢山のナイフを俺へ向ける。
「人を殺すとか、殺さないとかそんなこと言ったらだめだ」
突然スペイルドという少女は泣き出す。
「どうして。私は殺し合いコロシアムをしたいからウィルメシアスになったのに……酷いよ!」
号泣だ。これじゃまるで俺が悪い人みたいじゃないか。
「殺したい。だって殺したりするとコロッセオなのよ! 一番素敵な血の色はトマトではなくて血。これは人間の深層心理に刻まれたもので魔導書に乗っていない裏真実……なのにあなたは、この私に殺すなって……ひどいよぉ!」
「あ、んー……?」
「彼女の話は聞き流してくれて構いません。生まれつきの狂者であるが故に人を殺すことでしか生きられないのです」
「だっからー殺し合い殺して殺して死んじゃう。死んじゃって死んじゃってラッキータイム。私はスペイルド~生まれてからの殺し人で殺人鬼。一番好きな殺し方は餓死~」
歌を歌い始める。確かに相当頭のぶっ飛んだ奴だ。カナディアンもユーディストも流石に勝てない。
「何この人、少し頭が可笑しい、最初はナイトが泣かせたのが悪いと思ったけど……殺して泣いたんだから自業自得だわ」
だからこそスペイルドに俺は言い放つ。
「……一つだけ言っておく、青椒肉絲は死んじゃうーー」
「少し痛いですが失礼します」
言い返そうと考えてたあまり、俺は油断していた。
ジュニルバの強化された重たい拳を叩き込まれる。
その瞬間、何か見る景色が変わっていく。
「痛!」
すぐに着地するがさっきいたところと全く違う薄暗い建物の一室。
「どこだここ」
「私、ジョニルバ全力で貴方のお相手をするため決闘の一室を用意しました」
「……どうしてそんなこと」
「私が持つ全ての力を駆使して貴方を倒す為です」
消えた。というよりは加速したのだ。
「貴方はザウィードを倒すほどの実力を持っている。さすれば唯一デスラドルガス様の敵となりえるかもしれません」
確実に相手を殺す拳、何年も磨きをかけて力強い武術だ。
それにこの空間はどうやら俺の反応や動きが鈍くなっている。
「っくそ!」
みぞおちを狙われる。
何とか攻撃を捌く。
「お気づきでしょうが」
この執事。一体昔に何をやっていたんだ。
この動きのキレはどう考えても普通の執事じゃない。
「審判!」
凄まじい威力の蹴りがノックアウトされかける。
「この空間に招かれて生きて帰るものはいません」
断言。
「そうかよ……」
俺は何とか起き上がる。
~~~(アイーデ視点)
突然、ジョニルバさんとキリングさんが姿を消しました。
「あー使っちゃったのか~殺したかったのにな~」
スペイルドちゃんはナイフの手入れをしています。
「そことそことそこの三人は女の子。そう、私も女の子だよね! だから四人」
ナイフを構える。
「……私達だけで彼女を倒せるの」
不安が私を襲います。
その時カナディリアちゃんが前に出ました。
「私は! カナディリア・ガーディディア・ヴィリリリア! 女王を殺すなんて名誉棄損よ!」
「名誉棄損じゃない、反逆罪だよカナディリアちゃん!」
「アイーデさん不敬罪じゃない?」
「へぇ~女王様なんだ~普通の人は沢山殺したけど女王様殺したらどうなるんだろ~」
「えぇ! 死刑よ!」
「死刑! 嘘だ! 死刑になっていいはずがない酷いわよ!」
「……なら、私の軍門に下るしかないわよ! 衣食住は保証するわよ!」
「それに、有給付き」
ユーディストちゃんが口をはさみます。
「そんなの……私は嫌だあああ!」
ナイフが無数に飛んできます。
ユースティアちゃんの魔法で阻止しようとしましたが貫通。頬を切り裂きました。
「私は魔法だって殺せる! 私にシールドは意味がないよ~! 私のナイフはキラーキルキルキラー! 例え不死のアンデッドでも殺してしまえるのよ!」
「そんなの危ないじゃない! ナイフは食べ物を切る時に使いなさい! 行儀が悪いわよ! アブラマシマシ!」
「食べ物じゃ人は満足できないから~!」
二人は戦っている。だけど私は何もできずにいます。
「アブラマシマシは仮の姿で本当はジャムガスキ!」
カウンターを狙うも完全に読まれており、カナディリアちゃんの攻撃は届きません。
「はぁ、つまらないの。殺しちゃお!」
二人にの足にナイフが刺さる。
「痛い!」
「……あれ」
刺された途端動けなくなる。
「あとは死ぬのを待つだけ、大丈夫まだ生きているから」
「カナディリアちゃん! ユースティアちゃん!」
「……動けないわ! 女王が動けないと国が動くわよ!」
「……国は物理的には動かないよ……」
「あとは、あなただけね。一番弱いから見ているだけなのにかわいそう~」
彼女は私のほうを見て笑いました。
~~~
ジュニルバの猛攻は続く。
「まだ倒れませんか」
かなりの腕、それも己の肉体を極限まで鍛え上げられている。
既にステイを発動していて反撃するも技で返される。
「甘いです!」
「っか!」
みぞおちに膝。金的にアッパー。目潰し。そして顔面にストレート。
激痛が走る。
「手荒な真似でしたが、デスラドルガス様のために私の総てであなたを倒します」
確かに最悪すぎる攻撃だ。
「起き上がる暇は与えません」
首をへし折る勢いの蹴り。攻撃はまだまだ続く。
「影霧!」
そして骨が砕けそうな威力の回し蹴り。
「終わりです」
痺れるほど俺の身体から血が噴き出す。
一瞬意識が途切れ倒れた。
「……終わりました」
「いや、まだだよ」
俺はすぐに立ち上がる。
「……貴方が立ち上がれるはずがない、どうして、なぜ立ち上がれる。完全に骨すら砕いて心臓を止める一撃を穿ったはずですが」
「そんなの自分で考えろ」
「……貴方の覚悟がそれほどとは」
「俺に覚悟なんてない、お前のデスラドルガスへの忠誠のほうが強いだろ。だけど力は俺のほうが強いんだ……どうしようもできないほど力なんだ。ステイ!」
身体がさらに加速ジョニルバに連撃を浴びせる。
「覚悟がないと! ならばなぜそれほどの力を」
捌くも途中で凌ぎきれなくなりようやく拳は届く。
「自分で考えろ!」
最後の拳を叩き込む。ジョニルバは飛ばされる
「重い……私の攻撃が何一つとして効いていなかった?」
「効いてたよ。お前は強いし、この世界じゃお前が最強なんだろう……」
「一つだけ」
途切れそうな意識の中でジョニルバは立ちあがる。すごい気迫だ。
「貴方は世界が滅ぼうが構わない、そんな顔をしています」
「どうだろうな、正直適当だから分からない……」
それに語ろうとしてもだめだし……
「だけど、一応あの三人くらいは守ろうかなって思う。一緒にいるから」
「……貴方は」
そう、俺はここにくるまーーー
空間が歪みだす。
~~~(アイーデ視点)
もちろん私は彼女に勝てません。足から血が溢れ出しています。
「……でも、諦めません」
「どうしたの? 弱いのに頑張ってるとかダサいよ? 早く死んだほうがいいって」
「弱いです……私はみんなのように強くないです……ダサいですよ……でも死にません!」
「死ぬのよ!」
「死なせないんです……あなたも死なせません!」
キリングさんは来ない、だからこそ私にはあの人からもらった切り札があります。
ニンジンキャリバーを私は抜きました。
「ニンジン……キャリバー」
「ニンジン? ニンジンって! ニンジンより殺人のがいいでしょ!」
「いいえ! 生きているからニンジンが食べられます! カナディリアちゃんにユーディストちゃん。それにキリングさん! 誰か一人が欠けたら美味しさが、楽しさだってなくなってしまいますから!」
「……でも、世界は滅んじゃうよ?」
「世界は終わらせません。またこうして、みんなでご飯を、ニンジンを食べたいからです……」
チャンスはない、万が一にも彼女に勝てることが私にはないでしょう……キリングさん……ニンジンさん。私に力を貸してください。
「ニンジンだって殺しちゃうわ!」
一閃。剣を振りかざした時光が溢れます。
「ニンジン! キャリバー!」
それは剣ではなく光線のように彼女を切り裂きました。
「……嘘……」
その威力に私自身が一番驚いていました。
こんな魔力私にはないです。ニンジンキャリバーがこんなにもすごいものだとは思っていませんでした。
光の中から、彼女の姿が見えます。
「なんで……雑魚に負けたの」
「はぁ……」
魔力の使い過ぎで目がくらくらしてきます。駄目だ倒れーー
「よくやったな。アイーデ」
あの人の声が聞こえました。
ーーー
なんとかジョニルバの世界から抜け出すとアイーデは倒れる咄嗟に駆けつけると、何とかアイーダを抱えることができ、スペイルドが倒れているのも見えた。
「よくやったな。アイーデ」
「……キリングさん。やりました」
魔力を使い切ったのか力が抜けている。
「今夜はニンジンだな、ゆっくり休め」
「はい」
安らかに眠るとアイーデを抱える。
そのままスペイルドのとこへ向かう。
「なんで負けたか、お前が死ねとか殺すとか抜かすからだ。ホントに死んだらどうすんだよ」
「私は……殺したいだけなの」
「だったら、一番最初に殺した自分の心だけで満足しておけ、それに生き物を食べるのだって命を奪うことだ」
「でもそれは違う!」
「違わない! 俺が違わないっていうんだから違わない。だからもう、殺すとか死ぬとか言うのはやめろ、女の子だろ!」
「そこに女は関係ない! あなたは男!」
「世界は自分中心に回ってない、負けたお前が男を語るな!」
そういいなスペイルドを抱える。反撃する力も残っていない。
「アイーデは人を殺したお前だって助けようとした。命あってこそなんだよ文句が言えるのは」
「ならいっそ殺してよ! 無様だよ!」
「黙れ! 殺してなんて二度と言うな、ぶっ殺すぞ」
「そんなこと!」
「雑魚が反論するな! 黙って人殺しをやめて普通に生きろ! 死にてぇか」
「なんで……殺すことが生きがいなのに」
「殺すことを優しくすることに変えろ、アイーデのように優しく生きていけば、人は殺さなくていいし。死ななくていい」
「人をこーー」
「うるさい!」
そんな会話がしばらく続いた。
~~~
っで、傷を負った三人のついでにスペイルドも回復魔法で癒しているようで俺は見張りをしていた。
そんな時ユーディストが走ってくる。
「大変! アイーデさんが目覚めない」
「……どういうことだ。アイーデ」
すぐにアイーデの眠る部屋にいる。
傷も魔力も回復しているらしいが、目が覚めずにうなされ続けている。
「……ごめんなさい」
「謝ることなんてないだろ! 起きてくれ!」
「彼女はもう、目覚めません」
すると突然ふくよかな体系の女性謎の空間から現れる。
「なんだお前は誰! アイーデに何をした!」
闇みたいな紫の髪。センスを両手に持っている。
「彼女には眠ってもらいました。云わば人質です」
「誰だと聞いている!」
「彼女のニンジンキャリバーはウィルメシアスにとって危険分子です。それにあなたも異端分子」
「だから誰だ! 女!」
女は不敵な笑みを浮かべる。
「彼女を救う方法はただ一つです」
「何者だ!」
「私とゲームをして、勝つことができれば。彼女を開放します」
「誰なんだ……いや、勝てばいいんだな? カバディか? 野球拳か? 風呂のタオル膨らます奴か?」
「カバディ? そのゲームは存じ上げませんが、私の提案するゲームです。彼女が閉じこもっている世界にあなたを連れていきます。そして無事に助け出せーー」
「早くしろ! 連れていけ!」
とっととクリアしてアイーデを助けなければいけない。
「……それでは、どうぞ……プレイ・メモリー!」
すると目の前に広い空間の狭間が開かれる。
「ここからアイーデを助け出せばいいんだな?」
「そうです、命の保ーー」
そのまま突っ込んでいく。
すると後ろのゲートが消え去り。世界への移動は完了。異世界の異世界ってなんかややこしいな。
ジョルニバの時もそうか。
誰もいない森の中を一人歩いていると、そこには……
「……アイーデ」




