表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

ウィルメシアス

主人公はやけくそになってしまった。


今日の朝食は、よくわからない野菜のサンドウィッチだった。

「サンドウィッチの中身はやっぱりニンジンっ! ですよね」

ニンジン症候群が抜けきっていないアイーデ。サンドウィッチの中にニンジンがぎっしりと挟まれている。

「……もう、それでいいだろ」

ニンジンをまんべんなく食べるアイーデ。

だけど俺はもう流石にニンジンに懲り懲りだ。この世界にはもっとほかの食べ物があるだろうと思う。

「確かにニンジンは美味しい食べ物よ、だけど流石にニンジン食べすぎじゃない? ニンジン人になるわよ」

「ニンジン人にはならないよカナディリアちゃん。なるならニンジンお母さん」

そういう問題かよ。

「カナちゃんはジャガイモ怪人にはならないよね」

「安心してユーちゃん。なるとしても女王だからバラ女王だわ!」

「そうだね、ユーちゃんにはバラが似合う」

「俺は何が似合うと思う?」

ユーディストに訊く。

「……土」

土なのか俺……

「あなたのことよくわからないし」

誰も聞いてくれからだろ。

「そもそもナイトの名前すら聞いてなかった気がする!」

「確かにキリングさんも異名でしたし……」

空気が固まる。三人が思考を巡らせ一つの結論に至る。

「「「……でもまあ、いっか」」」

そして俺も一つの答え。

「……お前らとはもう、冒険できない!」

普通に考えてまぁいっかで済ますか? ここ数か月一緒に冒険して世界を救ったりもしただろう。

もういい、俺は一人でこれからこの世界で適当に生きていく。

「……待ってください! それでは誰が前に出て戦うのですか! それにキリングさんがいないとカナディリアちゃんもユーディストちゃんも歯止めが利かなくなりますから!」

「……もう勝手にしろ! 俺は俺のことを分かってくれるやつを探しに行く旅に出る! いないかもしれないけど!」

というかいないだろう。

もういい加減に我慢の限界で宿屋を飛び出した。

「ちょっと待ってくださいお金も道具も置いて行って」

「いらんやる!」


~~~(アイーデの視点)

キリングさんは怒りに身を任せ出て行ってから一週間が経ちました。

毎日ニンジンを食べて成長しています。天国にいる本当のお母さん。私は元気だよ。

相変わらずカナディリアちゃんとユーディストちゃんは仲が良くて二人の仲に入るのは少し気まずかったりもしていますが、キリングさんがいなくても世界は回っています。

覚えていますか、キリングさんと最初にあった草原のこと。

キリングさんは世界の終わったような顔をしていてとても暗そうでした。私を見た途端に更に思いつめた顔をして、返事をしましたね。

でもそれからキリングさんは私のことを必要に助けてくれたり、世界を救う手助けだってしてくれました。ニンジン騒動の時も危うく私は大事なものを奪われるところをあの人が手を差し伸べてくれました。

思い返せば何度もキリングさんに助けられていましたね。

まっすぐで明るい女王のカナディリアちゃんや落ち着いた世界最強のユーディストちゃんは強力な力を持っていますが、私には特異な力はありません。

だから、キリングさん。あなたはどこにいるのですか。

ちゃんと、この世界にいてくれますよね……?

……

「こんな夕方に物思いに耽って、アイーデはナイトのことをお慕いしているの?」

黄昏ていた私にカナディリアちゃんは問う。

「もしかして、恋愛。つまりは子作り?」

「恋愛と子作りを一緒にするのは俗物の発想だよユーディストちゃん」

「俗物になるつもりはない。だから今の発言取り消す」

「うん、取り消したよ!」

だけど、そう思うと私はキリングさんに想いを寄せているのか……いいえ、この気持ちはもっと違いました

「ニンジンとナイトならどちらが好きなのかしら?」

「ニンジン」

「なら、ナイトとニンジンならどっちが嫌い?」

「キリングさん」

「ならナイトとニンジンならどちらが嫌いじゃなくない?」

「ニンジン……って」

「やっぱりそういうことなのよ、ウサギはニンジンが好きなら、もっと大好きなものを食べればいいのよ!」

「……でも、私はニンジンのほうが」

「両方とればいいのよ! ニンジンもナイトだって。アイーデ、あなたはナイトの消えた寂しさをニンジンで取り戻そうとしている。だからね!」

やっぱり私は寂しいって感じていたのでしたね。

「……そうですね、そうだよね」

私は……

そう思った瞬間顔色が変わるユーディストちゃん。

咄嗟に前に出て魔力が上がりました。

「下がって! フォーシールド!」

突然空間を切る勢いの激しい衝撃が私達を襲いました。

今までに感じたことのない邪悪な波動。

何とか凌ぎ切ったユーディストちゃんは警戒を解かない。

「何が起こったの! ユーちゃん大丈夫」

「平気、それよりも戦闘態勢にならないと」

私も魔力を高めます。

「……今の一撃を凌ぎますか」

そこに現れたのは仮面をつけ丁寧な正装をしている礼儀正しい紳士のような人でした。

だけど溢れ出る魔力は常人のそれとはまったく違いました。

「ちょっとあなた女王に向かって何をしているのよ!」

「これは失礼いたしました。一国の女王がこのような道を歩いているとは思いもしませんでしたので」

ユーディストちゃんは私に小声で言います。

「今までのとはわけが違う、私でも倒せるか分からない」

世界最強と言われる彼女がどうして……そう思わせるこの方は一体……

「おおっと、失礼しました。私の名前はジュニルバと申します。デスラドルガス様直属の執事です」

「ちょうどよかった。私の名前はカナディリア・ガーディディア・ヴィリリリア。貴方私の執事になる気はないかしら!」

「そんなこと言っている場合じゃないでしょ!」

流石の私も突っ込んでしまう。こういうのはキリングさんの仕事なのに。

「申し訳ございませんが私が忠誠を誓うのはですらドルガス様ただ一人です。代わりにあなた方に恐怖をプレゼントしましょう」

私は何もできずにユーディストちゃんとジュニルバさんの戦いを見ているだけでした。速くついていくのにもやっとで動こうにもどうすればいいのか分からないのです。

「私についてこれる人、まだ居たんだ。だけど……フォーレイン!」

「その技はもう見切りましたよ。ローグ!」

牙がユーディストちゃんに襲い掛かる。

「ファイブレイン!」

「マジックキャンセルー!」

カナディリアちゃんは牙の魔法を消し去り、ファイブレインはジュニルバさんに命中する。

「痛みですね……傷をつけるとは」

そういいながら何事もないように着地する。

「ファイブレインを凌いだ……」

「あなたは“殺す”には惜しいですね……」

その時ユーディストちゃんは魔力をすべて開放する。

「レクイエム!」

そしてそれに連続するようにカナディリアちゃんも詠唱する。

「マジックキャンセル!」

「フェイントでしたか」

「トワイライト!」

トワイライトでジュニルバさんの視界を奪う。

そのままユーディストちゃんは私とカナディリアちゃんの手を掴む。

「クイック! ゲート!」

そのまま空間を移動しその場から立ち去っってしまう。

「……賢明な判断ですね」

見逃してもらえたのか、ジュニルバさんは追っては来ませんでした。

「はぁ……はぁ……」

ユーディストちゃんはかなりの魔力消費でその場で倒れてしいます。

「……ユーちゃん!」

「私でもあの人を倒すことはできない。桁違いの強さ」

なら、私には到底敵うはずがありません。ただ私は見ていることしかできなかった。

その時、私の頭に誰かの声が聞こえる。

『この世界の生きとし生ける全てに告ぐ、私の名はデスラドルガス。世界から総ての限りある命を奪うことにした』

その声は周りの全員に聞こえているみたいです。近くにいる子供がおびえています。

『そして諸君は理由というものを訊くのだろう、答えはこうだ。世界の人間は余りに愚かすぎる。自分のためになら平気で人を裏切り、他社を不幸にする。だから私はその不幸の連鎖を打ち切るために人類を、総ての知性生物の命を奪うことにした』

「……なによそれ! そんな勝手なこと!」

カナディリアちゃんはすぐさま感情を露にする。

『勝手だと思うなら止めてみるがよい。私達ウィルメシアスは全力で世界を滅ぼす』

それだけ言い声は途切れました。

ウィルメシアスという謎の組織。

「あの人の言っていることは本気だと思う。こんな沢山の人に意思を伝達できるなんて、並大抵の魔力じゃできない……私だって全世界に意思を伝えるなんてこと到底できない」

なら……本当に世界が滅んでしまうのでしょうか……きっと、キリングさんも聞いているはずです。


~~~


っで、一人になった俺は居酒屋に入り、店長に無銭飲食であることを咎められる。

「おい! なんだ兄ちゃん金ないのに酒飲んじゃ……いや兄ちゃんはもしかしてカレーの人!」

「カレー……カレーは甘口よりも中辛が好きで福神漬けはいらない……」

「そういえば、俺の店でもカレーが大繁盛でな。広めてくれた礼だ。チャラにしてやるよ」

「……ありがとう……」

酔いで睡魔が襲ってくる。酒は嫌なことが忘れられていい。何も考えたくないのだ……

あたりを見回すと何かが変になっていた。

客も店員も空を見上げて焦りの表情。

みんな無銭飲食なのではと思った。

「嘘だ……なぜ!」

「うわあああああああ!」

そんな悲鳴と共にみんな居酒屋から出ていく。

「おい、食い逃げするなんて……」

というより店員も逃げている。

「カレーの人も早く逃げないと! 聞いてなかったのか!」

「あぁ、聞いてたよ。中辛のほうが好きって……中辛」

「だめだ……生き残れよカレーの人!」

店長も行ってしまう。生き残れってこの世界……

「……こんなところに酒におぼれる男が一人。なんという情けなさだ」

そして一人店の中に入ってくる。剣を持った髪の長くなんか高そうな

「あぁ、お前も飲みに来たのか? 悪いが閉店みたいだ。客も店員もみんなどこか行っちまって! なら俺はなんだって知らないわ!」

「……てっきり、恐れ知らずの兵かと期待していたが、ただの泥酔者とは」

「泥酔者ってなんだ? 俺のことか!」

「まぁ良い……“死ぬ”がよい」

剣が俺の首へ……首へ?

「危な!」

俺は咄嗟に身体を下にして躱す。

「一撃を躱した?」

「お前! 酒飲む場で剣振り回すとか危ないだろ! ふざけんじゃねえ! 流石に“死ぬ”だろ」

そういいながら俺は酒で酔っているフラフラな体を起き上がらす。

「何を今更。貴様の首をもらいに来たというのに、それにその後は逃げたやつらの命も」

その一言で俺の意識は加速していく。

「おいちょっと待て、お前は何を言ってるんだ」

殺す? 死ぬ? この世界にそういうものはないだろ。

「それか二件目か? 酒は飲んでも飲まれるなだぞ」

「貴様に話す口はもう……ない」

瞬間、さっきの居合よりも早い剣筋。躱すので精一杯だった。

「いい加減あぶねえんだよ長いもの振り回して!」

重たい拳を叩き込もうとする。しかし攻撃は当たらず男は俺の後ろにいる。

「ヒドゥンゲート」

何かの魔法を発動しそんなことを気にせず殴る。

だが連続で殴り続けるが攻撃は一切当たらない。

「ちまちましやがって! 煮干しか!」

そういえばうどんが食べたくなったな。

「ブレードウィンド」

更に背中を斬られた。

「なっ!」

背中から血があふれ出す。かなり深い傷だった。

「……ぁ」

不覚を取り、血が出る。

「なかなかの手練れかと思ったが、予想を外すとは期待した俺が馬鹿だったな、この次を殺しに行くか」

「痛い……」

眠くなってきた。あぁ……だめだ。


~~~


やっと本筋に入りました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ