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奴隷と女王


マルクコロンブル王国。俺が訪れたこの国ではいろいろなことが起きていると、アイーデに聞いた。

冒険者になるためにはギルドと契約する必要があり、資格が必要になるのだ。

あとパンチウィザードは拳に魔法を宿せるすごい職業らしい、全く想像つかんな。

他にも武器や魔法の適性も調べられるらしい。

アイーデに案内されギルド登録所にやってくる。

「まさか! あなたは! ゴールデンキリングさん!」

「ゴールデンキリングだと?」

「まさかあのスーパーゴールデンキラーキリングがここに来た!」

俺が入った途端視線は一転集中だった。

「うおおおおおおおおおお!」

「ど、どうした急に」

驚き後ろに引いてしまう。

「お待ちしておりましたゴールデンキリングさん。とっととギルド登録の準備をしてしまいましょう!」

少し胸のでかい気のいいねーちゃん。胸に目が行くと思うが尻もでかい。

「なんか視線がいやらしいですよキリングさん」

アイーデまで俺のことをキリングという。キリングって本名もかすりもしないしそもそも俺の名前は……

「それでは! まずは名前は……ゴールデン・キリングさんですね。あとは……まあ難しい作業はこちらでやっておきますよ!」

名前までゴールデン・キリングになった! そういうのって二つ名とかじゃないの!?

すぐさま水晶が出される。

「まずは魔力適性です。この水晶に触ってみてください」

俺は手を伸ばすと電気が出てきて一瞬びくっとなるが、触れたまま。

「……これは」

丸い水晶の中から電気が俺の手にビリビリと流れてくる……もしや、これはすごい力が!

「すごいです! 魔力適性0です!」

ただのプラズマボールじゃねぇかくそが!

俺は怒りに身を任せて、水晶を割りかけるが。弁償でお金を請求されるのが嫌なので抑える。

それにガラス割れて破片飛んだらケガするし。

「次は武器適正ですね」

俺は剣を持ち振るった。

「はぁあ!」

「うーん剣適正は0ですね」

そして弓。

「弓を打つぜ!」

「0です」

「槍ぃ!」

「0で」

「俺はみんなを守る盾になりたい」

「0」

その後鎌は椅子とかを武器にしても適性は0でしかなかった。

「ここまで魔力と武器適正がない人なんて前例がありません」

「前例がないから、0を信じてもいいじゃないか……そもそもゴールデンキリングって、あの金倒したからだろ、別に殺しちゃいないだろ」

ギルドの受付に文句を言う。

「あの人結構強いんですよ。ここのギルドでも最難関クエストを任せられるくらいには」

名前忘れたけど結構強かったんだな。

「とりあえず、登録は完了です」

「やりましたキリングさん。それではさっそくクエストを受けましょう!」


~~~


っで。

受けたクエストはこの国で禁止されている奴隷を裏で使役している絶対悪である組織。ダークバッドデーモンズを壊滅させろとのこと。

「……な、なんでそんなミッション。私モスモースライムすら倒したことがいのに」

アイーデが怯えていた。

そんな裏の組織に喧嘩売りに行くのが二人ってここのギルドクレイジーだな。

「大丈夫だ。怪我したら回復しやすいように自然回復薬を持ってきた」

自然回復薬。怪我した部分に塗ることでばい菌を結構減らしてくれるアイテムだ。でも結構染みるから痛いぞ!

「キリングさん……」

その笑顔で本名読んでくれよ……

「おら! 働け! 女は男! 男は女のために働くのだ!」

ひどい声が地下の洞窟から聞こえてきた。

腐った水なのかおっさんの排せつ物のか分からないけど結構臭い。

俺とアイーデは物陰に隠れながら奴隷達を覗く。

そんな時金髪のぼろぼろの服を着た女の子を見かけた。

女の子で身長も小さい。結構やせ細って今にも心が折れそうで……いや

「私は女王なのよ! なんでこんなことをしなければいけないの!」

その女の子はデーモンズの団員に恐れることもなく文句を言った。

「お前、ここに売られてきたんだろ。名前は」

「ふふ、私の名前はカナディリア・ガーディディア・ヴィリリリアよ! マルクコロンブル王国を再建して、ウィルキリア女王国の女王なのよ」

名前長! 言いづらいし! カナディリア……カナでいいなめんどくさいから。

「いや! そんな国ないだろ! お前は何を言っているんだ。そもそもそんな長い名前なら絶対忘れるはずないけど、今初めて聞いたぞ! ただの奴隷だろ!」

「私は奴隷じゃない! 女王よ! 民よ私の前に立ち上がって、この男に不快な思いをさせるのです!」

しかしもちろん誰も集まってこない。

「こうなれば暴力で言うことを聞かせてやる!」

鞭が伸びた。

そう鞭、鞭が……ギルドの時になぜかこれだけマイナス適性だった鞭なのだ。

「鞭ごときがあああああ!」

俺は咄嗟に団員に石を投げた。

「痛! 痣ができたらどうするのだお前! って……奴隷じゃないだと!」

「奴隷じゃないならなんだと! 俺はお前が気に食わない! それだけだ!」

怒りの拳をぶつけようとするが躱される。

「あなた。いい志ね。信頼できるわ」

そういい、カナは俺のほうを見た。

「そんなことはいい、あいつを倒してついでに全員悪い奴をひどい目に合わせる。俺はそのために来たんだ」

「つまり、ナイトね。なら、私の女王の魔法見せてあげる」

そういい、複雑なエレメントが集合しすべての軌跡を奏でるように団員へ光の一撃を放った。

「コリアンダージェノベーゼ!」

「うわ! 辛い! 辛い! なんか背中が辛い……」

団員は気絶した。

コリアンダージェノベーゼ……もう意味が分かんない。


~~~


っで、想像以上にカナは強かった。全属性の魔法を使いこなし腕が辛くなったり、足の裏だけ風邪ひいたりしたのだ。

とうとう俺達はデーモンズを追い詰めた。ついに洞窟の奥に出てきた悪い人のトップだ。

「あなたがここの大首領ね」

「貴様は……俺の名はザンコク。奴隷ごときにここまでやられるとは。後悔」

「私は奴隷じゃない。奴隷にだって自由がある……いえ、女王は常に自由なのよ!」

特になんもしてないでカナだけでデーモンズを壊滅してくれたのでこちらとしては大助かり、とても彼女は強かったのだ。

「クワトレラ! ターメリック!」

もはや分からない魔法を放つも、すべて無効かされる。ザンコクかなりの手練れだ。

「嘘、私の女王の魔法が通じない。確かに攻撃は聞いているはずなのに」

「はははは! 奴隷如きに女王風情が調子に乗るな! お前は俺と結婚すればいいのだ」

そういいながらザンコクはカナのもとに走り寄ってくる。とても気持ち悪かった。

「助けてー! ナイト!」

そして俺を身代わりにする。

「なんだお前は、奴隷か」

「奴隷じゃない。俺の名前は……」

「そんなことどうでもいい! 俺の邪魔をするなら残酷にいじめてやる!」

そういいながらブラックホールを4つくらい作りだし、

「全ての魔力を無効にする。最強の力だ!」

そういいながら向かってくる。

しかし、悲しいくらいに悲しい。魔力適性0の俺に魔力無効されても意味がないのだ。

全力で向かってくる相手にすることは一つ。敬意を払って息を整えた。

アイーデは笑いを必死でこらえてる。

「なら俺も全力だ!」

頭突き!

「痛っ! めっちゃ痛!」

そのままザンコクはこの場で倒れる。

「いまだアイーデ! パンチウィザードの力を見せる時だ!」

「ふふふ……あっはい! 我が赤は赤よりも赤い。赤は赤色の赤であって……あとなんだっけ、もういいや! 唸れ深紅の水流! バブルクラシック!」

赤色の水を手にまとって、ザンコクの鼻に入れる。

「うわっ! 鼻に水入った辛い! うわ げほげほ! 無理気持ち悪!」

「そのままカナも追加で攻撃だ!」

「ターピーオーカー!」

「鼻に水入ったまま! めっちゃ唇がひりひりする! うわ! 背中が痒い~~~~! 無念!」

ザンコクは倒れ、ついでにデーモンズは壊滅してしまった。


~~~


っで、

「あなた、なかなかやるわね。私が作る女王部隊のナイトにふさわしいわ」

「ナイトってなんだよ。そもそも、なるなんて言ってない。俺とアイーデは冒険者だからな、王国を守るナイトにはなれないのさ」

「面白そうじゃない、ナイト。アイーデ。私も仲間に入れてもらえるかしら」

「で、でも。カナディリアちゃん。王国は?」

「ほんとは、そんなものないんだよね。私は特に何もない家で生まれて、両親が膝すりむいてから、面倒見切れないと捨てられた。そして奴隷になるしかなかったの」

突然カナは語りだす。

「でも、絶対に折れちゃいけない。だから私はママに読んでもらった本の女王の物語。それに一番近い生き方を私は選んだ。見た目は奴隷でも心は女王なのよ!」

ずいぶんと強い子だな。驚いた。

「冒険には危険が伴うぞ。鼻血が出て倒れるかもしれない」

アイーデは彼女のことを受け入れるつもりだ。

「それじゃ、これからは私のことは女王と呼びなさい! いいわね! げ・ぼ・く!」

その笑顔だけは本物である。

結局今回も名乗れませんでした。

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