VS最果ての覇者
俺はようやくデスラドルガスのいる場所に辿り着いた。
複数の魔法の結界を全部殴り破壊する。
「来たか」
今度は正式にスペリオルグの時とは違って真正面からデスラドルガスを見上げている。
「お前の手下は全員倒したぞ。諦めて平和に暮らせ」
しかし、デスラドルガスは全く無反応。
「諦めるという選択はない、私は諦めてはいない、ウィルメシアスが一人になろうが計画は止まらない。たった一人でも成し遂げる……殺すさ」
「なら、お前を止めるだけだ」
「……どうして人間なんてものを守ろうとする」
「お前も元は人だ。どうして世界を滅ぼそうとする」
「今から死ぬ相手に言っても無駄だ」
異常な殺気は今までの敵とは比べ物にならない。
「理由なんて関係ない……か、ステイ!」
俺のほうが先に動く、最初から全力でデスラドルガスに蹴りを喰らわす。
しかし受け止められた。
「久々に絶対障壁が壊されたな。でかい口を叩くだけはある……だが!」
次の瞬間、俺はすぐに後ろに下がる。
さもなければ絶対零度で凍らされていた。
「今の一撃を読み切り、躱す、実力は申し分ない」
デスラドルガスは立ち上がり、マントを脱ぎ棄てる。
「次はないと思え!」
異常なほどの魔力を放ち俺へと突撃。攻撃を捌きながら反撃する。無尽蔵の魔力だ。
何度か攻撃を打ち込み腕を吹き飛ばしたりするも、回復魔法で瞬時に回復される。
「回復とか!」
俺が本気の速度でようやく追いつけるくらいの速さ。強化魔法による近接戦闘。距離をとれば魔法でダメージを喰らう。
だから近くに張り付いて攻撃を受けるしか対処法がない。
「……ステイ!」
ステイで強化して実力は互角かそれ以上。
結界は一度壊してもすぐに張られるため最低でも二回攻撃を叩き込まないとダメージが入らない、しかもすぐに回復が待っている。
無数の連撃を叩き込まれ壁へと叩きつけられる。
何百メートルも飛ばされただろう。
「そこか!」
空間移動をしたのか後ろにいる、空間を移動し続け飛んだ先にはいつだって攻撃。
もう世界一周ぐらいできるぐらいは飛ばされただろう。
受け身もくそもない。
「っちぃ!」
態勢を立て直そうとする。
「レインブレイズ」
炎の膝が腹に叩き込まれる。
「っかは!」
血が滝のように出て身体が焼けるように熱い。
「……これで終わりだ。ヘルズウォール」
頭にかかと落としか、重たい衝撃が走り地面に垂直落下した。
あぁ、これが……
戦いで平地となった街だ。デスラドルガスは攻撃をやめ近づいてくる。
身体は全身痛み、意識もなくなりそうだ。
確かに世界を簡単に滅ぼせる力を持っている。本当にこいつがこれが世界最強だ。
今までで戦った中で一番強い。それだけの覚悟がこの男にはあるのだ。
何とか重い身体をステイで持ち上げる。
「今までの誰とも……強さの質が違う。強いなお前」
今の戦闘で俺が吹き飛ばされ街が壊れていたとは思いもしないだろみんなは、
「息があるか、流石はあいつらを倒した男だ。だが、私はまだ本気を出していない」
周りには拠点を抜け出したアイーデ。カナディリアにユーディスト達も見える。そして何度も攻撃を喰らって気付き始めた。
「殴られて憎しみや絶望が伝わってきた。お前の強さは喪失感からくるものだ」
「……」
雨が降り始める。
「正直、お前がこんな強いとは思っていなかったし。簡単に倒せると思っていた、だけど……」
デスラドルガスは俺のことを強く睨みつけた。
「……貴様!」
憎しみは俺に向く。
「でもな、悲しい過去があっても今を生きるしかないんだ。世界を滅ぼすなんてそんなつまらない答えは求めてないんだよ、もっと面白く生きろよ」
誰かの言葉の受け売りだ。それに俺は過去を振り返れない。
「何を……面白くだと!」
「絶望は世界を滅ぼす言い訳にならない! この世界には楽しく生きてるやつらがいるんだよ!」
俺はステイをもう一度纏い。デスラドルガスに拳を叩き込む。
「!」
届いたが顔面で受けてなお、こいつは立っている。
「楽しくか、こんな善人が馬鹿を見る世界で楽しく生きられるやつは悪人だ」
「どうだか! だがお前は間違っている!」
「世界はなぜこうも間違っている。貴様だって間違っているのだ」
「そうかもな」
「そうさ、気付いている。私だって間違っていることに」」
数段強化された俺のステイよりも強力な拳を叩き込まれる。
「っく! だけど! 夢を……何かを成し遂げようとして生きている奴は正しい! ステイドリーム!」
デスラドルガスに拳は届いてもダメージは通らない。
「ならば、正しかった彼女は命を落とした……何よりも正しかった彼女がどうして死ななければならなかった!」
デスラドルガスは語り始める。




