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プロローグ
桜散る木の下で、涙を流す狐耳の男「朔也」と腕の中で美しいまま眠っている人間の女「朱音」が居た。
朔也は消え入りそうな声で、朱音に向かって言った。
「朱音⋯⋯愛してる。千年、千年待ち続けるからな。
だから、どうかもう一度俺を選んで欲しい。そして、次こそは共に幸せになろうな。」
朔也は朱音の唇にそっと口付けた。
強い風が吹き、桜が舞った。
風が止んだ時、朔也の腕の中にもう朱音は居なかった。
ただ、残っていたのは朱音が纏っていた十二単の唐衣だけだった。
朔也はその唐衣を愛おしそうに見つめ、唐衣に口付けると美しい翡翠の瞳を隠すようにそっと瞼を閉じた。
そして、朔也は深い眠りについた。