七話 結局平和な一日
展開が早く、短いです。すいません。
「……お前今なんていった」
「ガ、ガチで戦いましょうと」
そうか、聞き間違いじゃなかったか。
「なんでいきなりそんなこと言い出したんだ? 誰かに命令されたのか?」
そうだな例えば……
「ギルドマスターとかに」
「ち、違います!」
「じゃあなんでだ」
俺に戦いを挑む理由なんてあるか?
「そ、それは……」
「早く」
カツカツと足で地面を叩くとライはびくりと震えあがる。
「そ、それは私の任務が関係していて」
「任務?」
「は、はい。私の任務はロクさんをギルドに連れ戻すことなんです」
「連れ戻すだけでなんで戦うことになってんだ?」
「ロ、ロクさんと勝負して私が勝ったらギルドに戻ってもらおう、なーんて……」
「…………」
「…………」
「…………………………ぷっ! ぶははははははははははははははははは!」
「え……」
もう、もうだめだ! 腹が、腹が痛い!
回復魔法はよ!
「な、なんで笑ってるんですか?」
「だ、だって、自分が勝ったらギルドに戻ってもらおうとか、ア、アホみたいで」
なんでそんなこと思いつくんだ。
もしライが勝ったとしても、俺が約束を守る奴に見えんのか。
「ひぃ、ひぃ。駄目だ、回復魔法がこんなにもほしい日が来るなんて」
笑いすぎて出た涙を拭き、ライの方を見るとライはほほをリスのように膨らませてこちらを睨んでいた。
「……ひ、酷いです! 最低野郎です!」
「な、なんでだよ」
「こちらが勇気をだして戦おうと言ってるのに笑うところがまず駄目です!」
「他には?」
「殺気を出すことです!」
あれ? マジで? 出てた?
「殺気のせいで少しだけですけどびびっちゃったじゃないですか!」
「だからお前あんなに震えてたのか! はははははははは!」
「笑わないで下さい!」
「無理だって! 誰だってこんなの笑うわ!」
その後俺は三十分ほど笑い転げた。
「いやーごめんな笑っちまって。なんだっけ『ガチで戦いましょう!』だっけ? ぷ!」
「そこも笑ってたんですか!」
今思い出すとすべての言葉が面白く聞こえるな。
不思議だ。
「もういいです。それで私と戦ってくれるんですか」
「え? 嫌だけど?」
「え?」
え? って……え?
「なんでそんなに驚いてんだよ。一言も戦うとは言ってないだろ?」
「今の流れだと戦うと思いまして」
「そんな訳ないだろ。俺言ったろ、今日はだらだらしたい気分だって」
さあ家に入って菓子でも食べるか。
俺はライに手を振り家へと歩いていく。
「あ、待って下さい! 私も食べます!」
「戦うのはいいのか?」
「もういいです。ロクさんどうせ戦ってくれないし」
「その通り」
俺は温かい太陽の日を浴びながらなんとなく思う。
今日も平和な一日だな。
ロクが殺気を出した理由とライが何故戦う思考に至ったのかを次の話で書く予定です。
そしてメリークリスマス! チーズケーキうまうま。