表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/23

五話 平和な一日

ゆったりとした話が少し続く予定です

「ふん、ふふ、ふーん。ふふふ、ふーん」


 今日も今日とて俺はお気に入りの歌を鼻で歌いながらカーペットでゴロゴロと転がっている。


「ああ、世界ってなんて美しいんだろう」


 今日の俺はとてもとても気分が良い。

 周りがお花畑に見えるくらいだ。


 え? 何故気分が良いのかって? 教えてほしい?

 どうしよかなー、教えてあげてもいいんだけどー。


 お願いします、教えて下さいだって?

 ……しょうがないなー、教えてあげるよ。


 俺が気分がいい理由はな、



 正直自分でもわかりません。



 おい落ち着けよ、棚から皿を持ってくるんじゃねーよ。

 それで俺の頭かち割るつもりだろ。

 ちゃんと理由話すから。


 ……いやね、あそこまでひっぱといてなんだよと思うかもしれないけどね、ない? なんか気分がとてつもなく良い日って。

 わかるじゃんほら、今日自分なんでも出来そうだなって日。


「ちょっとあれかもしんないけど例えるとさ、女子の生理と同」


「ストップ! ストップ!」


「あ? なに?」


「なんで急に汚い感じになるんですか!」


「おいおい、汚いとか言うんじゃねーよ。全ての女子を敵に回すぞ」


「あ、す、すみません。……ってこの話やめません?!」


 お前が汚いとか言うからこの話が始まったんだろうが。


「じゃあ話題変えるか。俺から話題出すぞ」


「はい」


「なんでお前がまたいるんだ」


「ほへ?」


 ほへ? じゃないから。

 そんなとぼけた声だしても無駄だぞ。


「お前昨日帰ったはずだろ。ラ、ラ、ラ……ラッキー」


「ライです!」


「おお、そうだった。ラッキーじゃなくてライだった。紛らわしい名前してんな」


「そんなに紛らわしくないです!」


「まあそんなことはどうでもいいんだ」


 ラッキーだろうがライだろうがしったこっちゃないからな。


「それよりお前がなんで俺の家にいるんだ」


「それはですね、昨日帰った後にギルドマスターに報告をしに行ったんですよ。そしたら何故か驚かれまして、特に理由もわからずまた行けと」


「お前俺が教えた秘密言ったんじゃないんだろうな」


「言ってませんよ! 私は約束は守る子です」


 信じれるわけないだろ。

 お前に言った気がなくてもポロッっと言ってる可能性があるからな。


「あ、信じてませんね!」


「当たり前だろ」


「なら証明してあげますよ!」


「やってみろよ」


 ライはわかりましたと答え玄関に向かっていくが、扉の前で止まりまた戻ってくる。


「どうしたんだよ」


「……どうやって証明しましょう」


 もうめんどくせーよ。








 証明することが出来ないとわかったライは証明することを諦め、俺と一緒にお茶を飲んでいた。

 ちなみに草のお茶ではない。

 進めたらもういいですと断られた。残念。


「ふー、やっぱ普通のお茶が一番ですね」


「いや、草茶だな」


 互いにお茶の感想を言い合い、机に置いてある菓子へと手を伸ばす。


 あれだな、幸せってこういうことなんだな。

 温かい草茶を飲みほっと一息つく。


 俺が一人で幸せをかみしめていると、ライがクッキーをちびちびと齧りながら聞いてくる。


「貴方の名前ってなんですか?」


「急になんだ」


「そういえば知らなかったなーと思いまして」


 凄い今更だな。


「それで名前なんて言うんですか?」


「えー、言わなきゃだめ?」


「別に強制って訳じゃないですけど……。なにか言えない理由でもあるんですか?」


「ああ、話せば長くなるが……」


「え?! 聞かせて下さい!」


 しょうがないな。

 そんなに聞きたいのなら聞かせてやろう。


「実はな」


「はい」


「別にお前と仲良くなりたいと思わないから言いたくないなと思って」


「酷い! しかも長くない!」


 ライが、がたがたと椅子を鳴らし抗議をしてくる。


 ちょ、怒ると椅子を鳴らす癖でもあるのか。

 床が傷つくからやめろ。


「教えて! 教えて!」


「わかった! わかったからやめろ! 子供かお前は!」


「なら早く」


「なんで脅されてる感じになってんだよ……。ロクだ」


「いきなり数字を言うなんてどうしたんですか?」


「俺の名前だ!」


 天然入ってるだろこいつ。

 今の流れで数字をいうやつなんていないだろ。


「ああ! ロクさんって言うんですか! 数字みたいな名前ですね」


「数字だからな。あともう数字から離れろ」


「なんでロクって言う名前なんですか?」


「知らね。俺の親に聞いてくれ」


「親御さんはどんな人なんですか?」


「母、父共に自由な人だよ。今は世界を旅しているらしい」


「なんで旅してるってわかるんですか?」


「手紙がちょくちょく届けられるんだよ」


「へー、いい親御さんですね」


 怒涛の質問ラッシュをくらい少し疲れた俺は草茶を飲みふと窓の外を見る。

 外は日が暮れかけていた。


「おい、もう帰った方がいいんじゃないか」


「なんですか? 追い出す気ですか」


「違うわ、日が暮れてきたから大丈夫なのかって思っただけだ」


「え?」


 驚いたような表情で窓の外をみたライは慌ててお茶を飲み干し玄関へと駆けていく。


「お茶ごちそうさまでした! では!」


「おう、気を付けて帰れよ」


 ライが出てくのを見届け俺は菓子やコップを片づける。


 そして風呂に入ろうかと湯を沸かしに行く途中でふと気づく。


「あいつ俺の家になにしにきたんだ?」

遊びにきました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ